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NBA代理人の証言…河村勇輝23歳がパリ五輪後に挑む“シビアな競争”「カワムラに求められるのはパス能力」「待遇は今を下回る。ただ…」
posted2024/07/25 06:00
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Kiichi Matsumoto
B.LEAGUEの横浜ビー・コルセアーズに所属する河村勇輝が今秋、NBAのメンフィス ・グリズリーズとエグジビット10(E-10)契約に合意し、トレーニングキャンプに臨むことが発表された。
今オフ、NBAチームとエグジビット10契約を結ぶのはインディアナ・ペイサーズのキャンプに合流する予定の富永啓生に次いで2人目。パリ五輪に臨む日本代表の中心選手でもある河村には五輪後、NBAを目指した新たな戦いが待ち受けている。
この2人の挑戦の過程で鍵となるエグジビット10契約は2017年から導入され「最低年俸、無保証ではあるが、トレーニングキャンプには参加でき、2ウェイ契約への切り替えが可能」と認識されている選手育成制度。選手側には具体的にどんなメリットがあり、チーム側にはどういった意図があるのか。その実態を知るため、アメリカ国内で活動するある代理人に意見を求めた。
これまでの経験からエグジビット10契約の背景を熟知する匿名エージェントの言葉からは、河村の置かれた立場と目指すべき目標がリアルな形で見えてくる。
(以下、代理人の一人語り)
ドラフト外から本契約への理想の道筋
河村にとって現状、“NBAへの一番の近道”といえるE-10契約を得られたのは大きかった。前提として、ドラフト指名されなかった外国人選手が開幕前後にNBAに挑戦できる方法はE-10契約を含む幾つかに限られてくる。
ベストの形は何らかの経緯で実力を認められ、どこかのチームといきなり本契約を結ぶことだ。今年の場合、パリ五輪という大舞台で目立つ活躍でもすれば絶対にあり得ない話というわけではない。ただ、現実的に6月のドラフトで指名されなかった選手が開幕までに本契約を得る可能性はかなり低い。ドラフトイヤーだった去年のドラフトでは指名されず、今年は指名される権利がなかった河村に関してもそれは同様だ。
そうなってくると、最善の方法はNBAと傘下のGリーグを一定期間行き来できる2ウェイ契約か、それに繋がり得るE-10契約を得ること。それも叶わなければ、あとは10月に開催されるGリーグのドラフトで指名され、Gリーグから這い上がっていくという方法もある。河村はすでにグリズリーズとE-10契約を結んだわけだから、まずトレーニングキャンプで力を見せ、開幕前に2ウェイ契約への切り替えを狙うのが当面の目標となるのだろう。