Jをめぐる冒険BACK NUMBER
フィジカル、運動量、タフ、デュエル。
遠藤航が“真のA代表”に約束の選出。
posted2015/09/02 15:45
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Sugiyama
フィリップ・ラームといえば、言わずと知れたドイツの名門、バイエルン・ミュンヘンのキャプテンだ。'10年、'14年のワールドカップではドイツ代表でもキャプテンを務めている。
クラブと代表において不動のサイドバックだった彼に転機が訪れたのは、2シーズン前のことだった。
バルセロナで黄金期を築き、バイエルンの監督に就任したジョゼップ・グアルディオラによってミッドフィールダーとしての資質を見出され、アンカーやインサイドハーフ、ボランチとしても起用されるようになったのだ。
ペップの目に狂いはなかった。
戦術上のキーマンとして、中盤でも従来通りの高水準のプレーを披露したラームは、サッカーインテリジェンスの高さを改めて証明し、さらに評価を高めた。
そんなラームに昨年、自身の姿を投影していたJリーガーがいる。
湘南ベルマーレの遠藤航である。
「ポジションは違うんですけど、参考にできる部分が多いので目標にしていました。ああいうユーティリティ性のあるプレーヤーは、自分にとっていい指針というか。27歳ぐらいになれば、ひとつのポジションにこだわってやっていけばいいと思いますけど、今はいろんなポジションをこなすことが、自分の成長につながると思っているので」
湘南で3バックの右ストッパーとしてプレーする遠藤は昨年、U-21(現U-22)日本代表でボランチとして起用されるようになった。DFとMF、異なるふたつのポジションでプレーする彼にとって、ラームは目標とするのにふさわしい選手だったのだ。
もっとも、ラームの本職でもある右サイドバックでのプレーがその後、遠藤の日本代表への道を切り開くことになるとは、当時は思いもしなかっただろうけれど。
東アジア杯でハリルが見つけた「素晴らしい選手」。
Jリーグでプレーする選手たちだけで代表チームを構成し、中国の武漢に乗り込んだ8月の東アジアカップ。オーディションの趣もあったこの大会を終えたあと、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「素晴らしい選手を2、3人発見した」と語っていたが、その素晴らしい選手とは、遠藤とガンバ大阪の米倉恒貴だった。
ふたりは“真のA代表”の一員として、カンボジア、アフガニスタンとのワールドカップ予選に臨む。