Jをめぐる冒険BACK NUMBER
フィジカル、運動量、タフ、デュエル。
遠藤航が“真のA代表”に約束の選出。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/09/02 15:45
アジア相手とはいえ、遠藤航の肉弾戦の強さは際立っていた。そしてどんな状況でも慌てず、とてもチーム最年少には見えない。スタメン争いの壁は高いが、その将来に期待せざるをえない。
フィジカル、シュート、運動量、そしてデュエル。
東アジアカップで米倉は中国との第3戦のみに、それも本職ではない左サイドバックとして出場。1アシストを記録し、一発逆転で選出を勝ち取った印象がある。
それに対して遠藤は「初めてプレーする」右サイドバックとして2試合に起用され、そこでのパフォーマンスで指揮官からの信頼を得ると、第3戦ではボランチとしてプレーした。3試合すべてでフル出場を果たしたため、“約束された選出”と言えるかもしれない(遠藤のほかにフルタイム出場を飾ったのは、代表の常連である槙野智章、森重真人、山口蛍の3人だけだ)。
カンボジア戦、アフガニスタン戦のメンバー発表の際、ハリルホジッチ監督は遠藤について、こんな風に語っている。
「フィジカル的に強いし、良いシュートを持っている。そして運動量もある。デュエルのところもかなり強い」
デュエルというのは、相手との1対1の勝負のことで、就任以来、ハリルホジッチ監督が、世界と戦ううえで選手たちに強く求めてきた要素だ。
たしかに東アジアカップでは、ボールの奪い合いで簡単に負けなかった。相手の突進に対しては両足でブロックし、ボールが前にこぼれるようにしてマイボールにする。
ボールを保持しているときに相手に激しく寄せられても、ボールとの間に体を入れて腰をぐっと突き出し、簡単には奪われない。足腰の強さが感じられ、頼もしい存在だったのは間違いない。
日本が苦手なタイプを相手に見せたデュエル性能。
個人的に、遠藤のデュエルの強さが印象に残ったのは、その約1カ月前の7月1日、彼がキャプテンを務めるU-22日本代表の親善試合だ。
相手はボールの狩り合い、ぶつかり合いを厭わない、むしろそれを得意とする中米の雄、コスタリカ。日本が最も苦手とするタイプだったはずだが、逆に屈強な相手選手をふっ飛ばしていたのが遠藤だった。
しかも奪い取ったあとには、力強い縦パスで攻撃の起点にもなり、この試合のマン・オブ・ザ・マッチというべき存在だった。試合後、チームを率いる手倉森誠監督が「またひとつ高い意識でゲームに臨んでくれた」と、その働きを称えたほどだった。