Jをめぐる冒険BACK NUMBER
フィジカル、運動量、タフ、デュエル。
遠藤航が“真のA代表”に約束の選出。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/09/02 15:45
アジア相手とはいえ、遠藤航の肉弾戦の強さは際立っていた。そしてどんな状況でも慌てず、とてもチーム最年少には見えない。スタメン争いの壁は高いが、その将来に期待せざるをえない。
遠藤「日本代表が身近に感じられるようになってきた」
タフであること――それも、遠藤が評価される要因だろう。
東アジアカップでハリルホジッチ監督は、ことあるごとに過密日程に不満を並べていた。しかし一方で、選手たちに対しては、こんな要求もしていたという。
「こうした厳しい日程でもしっかりと戦えるフィジカル、スタミナを身につけてくれ」
その点、遠藤は3試合にフルタイム出場を果たしただけでなく、帰国して2日後に行なわれたJ1でもフル出場を飾っている(その後の3試合もフル出場)。
思えば、U-22日本代表が今年3月に臨んだリオ五輪アジア1次予選で、大会終了後、手倉森監督から「成長が本当に著しい。タフさをすごく感じた」と賛辞を贈られたのも遠藤だった。猛暑のマレーシア、中1日の試合間隔で行なわれた3試合でただひとり、全試合先発出場を果たしたのだ。
「日本代表が身近に感じられるようになってきている。オリンピックのあと、最終予選のあとと言わず、その前にA代表に入って、もっと成長したいと思っています」
前述のコスタリカ戦を前にして、遠藤は力強くそう宣言している。
U-22だが、実は宇佐美や柴崎、武藤嘉紀と同学年。
A代表への意欲を大いに刺激したのは、昨年末に行なわれた日本代表キャプテンとの対談だった。そのとき、長谷部誠は「下の世代の突き上げがないと、日本は強くならない」と発言し、世代交代の重要性を説いたという。
さらに今シーズン、2年ぶりとなるJ1でのプレーを通じて、もっと高いレベルを経験して成長したい、という思いを強くした。なかでも、すでに日本代表入りを果たしている同級生たちとの対戦は刺激的だった。
'93年生まれ以降の選手で構成されるU-22代表のメンバーのため、若手との印象が強いが、早生まれの遠藤は'92年生まれ、いわゆる「プラチナ世代」と同学年だ。
その代表格である宇佐美貴史、柴崎岳、武藤嘉紀はアギーレジャパン、ハリルジャパンで次々と代表デビューを飾り、ゴールまで決めている。