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<なでしこ絶対エースの告白> 大儀見優季 「王者ではなく、挑戦者として」
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byTaiji Yamazaki
posted2015/06/23 10:00
強豪国を戦術的、技術的に上回るようなサッカーを。
――4年前もW杯前、アメリカに2連敗して、韓国とは引き分けと、大会前の状況は決して良くはなかった。
「大会前にチームとして出来上がってしまう方が怖いですよね。なでしこはドイツW杯にしろ、ロンドン五輪にしろ、大会を通して成長していくチームなので」
――目標は設定していますか?
「よりサッカー的な要素を評価してもらえるような戦い方をしたいですね。前回は人の心を引きつけるような、ギリギリの戦いで優勝を掴んだ。でもただ頑張って、粘って勝つということを評価されるんじゃなく、その上の段階を目指したい。強豪国を戦術的、技術的に上回るようなサッカーを」
W杯は、いかに苦しいことを楽しむかってことが重要。
――その上で得点を目指すと。
「ありきたりな言葉ですけど、記憶にも記録にも残るようなゴールを獲りたい。それは、自分がこれまで積み重ねてきたことが凝縮されたものになるはず。練習でやってきたものしか、本番では出ませんしね」
――本大会が楽しみですね。
「うーん、楽しいことなのかな。単純に楽しむことは出来ないですね。W杯を戦うのに、苦しいことがないわけがないですから。W杯は、いかに苦しいことを楽しむかってことが重要だと思うので」
取材を終えても飛行機が飛ぶ気配はなく、大儀見は再び、トレーニングへと向かった。
その日の夜に更新されたブログでは、その様子をこう書いていた。
《体育館でみっちり休憩なしのノンストップ45分! 苦しい感じがなんとも楽しかったです》
彼女ならきっと、本大会の苦しみも乗り越えられるはずだ。