Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
<なでしこ絶対エースの告白> 大儀見優季 「王者ではなく、挑戦者として」
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byTaiji Yamazaki
posted2015/06/23 10:00
結果には繋がらなかったが、成長は感じられている。
――半年間で得たものはありましたか。
「もがきながらも個のレベルの高い中で試合をやっていくことで、技術的にも精神的にも成長を感じることが出来ました。長いスパンで考えたら、前に進めている。残念ながら結果には繋がりませんでしたが」
――長い目で見れば、必要な移籍だったと。
「今までは好きなチームに行って、好きなようにプレーしたいと考えていました。もちろん自分の意志が前提としてあるんだけど、プロとして周囲から評価されるには厳しい環境でやるのも大事。それが日本人選手の価値も高めることにもつながりますし」
――頼もしいです。日本代表に話を移すと、3月のアルガルベ杯では、大儀見さんも得点無し、チームも9位となかなか結果が出ませんでした。
「確かに結果は出ませんでしたが、選手それぞれに手ごたえはあったと思います。最終戦の2─0で勝ったアイスランド戦では、代表の目指すべき方向性も見えましたし」
なでしこも「縦に速いサッカー」を目指すが……。
――今の代表はどういった形を目指しているのでしょうか。
「佐々木則夫監督は縦に速いサッカーを目指しているんです。でも戦術を表現する選手たちの中で、出来ると思っている人とそうでない人がいる。だからタイミングが合わないこともしばしばあります」
――それをすり合わせていかなければならない段階にあるということですね?
「選手にはそれぞれ、自分がやりやすい戦術がある。でも自分がやりやすいから、出来ないからという理由で、選択しちゃいけないんです。一番大事なのは、相手にとって嫌なやりかたをすること。そうじゃないと、強豪相手には絶対に勝てないですから」
――個人的にはどんな課題がありましたか?
「劣勢で引いて守る時間が長くなっても、私は下がらず、前線で駆け引きをしなくちゃいけないんだということです。チームメイトも私を信頼してボールを預けてくれるんですが、敵も日本を研究しているから、持った瞬間に複数でボールを奪いに来る。低い位置で獲られたら一気にピンチになるので、それは気をつけないといけない」