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バイエルンが目覚めた“暴力性”。
「バルサの亜流」を超える時が来た。
posted2015/04/22 16:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
AFLO
グアルディオラが緻密に作り上げたチームが、まさかこれほどの暴力性を発揮すると誰が想像しただろうか?
窮地に追い込まれたことで、ついに“ペップ・バイエルン”の真の姿が覚醒しようとしている。
これまでもバイエルンのサッカーは華麗なパスまわしで相手を圧倒していたが、CLを2度制した“ペップ・バルサ”に比べると、ややスケールが小さく感じられた。
グアルディオラは2013年夏にバイエルンに来て以来、バルサよりもクロスを多くしたり、システムを4-4-2や3-5-2にしたりと、工夫をこらして本家を超えようとしたが、新たなスタイルを創造するのは簡単ではなかった。
だが4月21日、ミュンヘンのアリアンツ・アレナにおいて、ついにそれが出現したのである。
ささやかれたペップモデルの“限界説”。
CLの準々決勝の第2レグに向けて、グアルディオラはバイエルンの監督就任以来、最大の危機に立たされていた。
アウェーで行なわれた第1レグにおいて、FCポルトに1-3で完敗。猛烈なプレスを受けて、ビルドアップ役のシャビ・アロンソやダンテがミスを連発し、ペップモデルの“限界説”がささやかれた。
「もし準々決勝で敗退したら、今季限りでバイエルンを去るのか?」
第2レグに向けた前日会見で、そんな質問が出るほどだった。
しかし、プライドを傷つけられたときほど、この男は真価を発揮するらしい。グアルディオラはポルトをホームで粉砕するために、これまでに見られなかったいくつもの“トリック”を用意した。