欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
岡崎慎司がまくしたてた濃密な15分。
端々に滲む、日本サッカーへの愛。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2015/03/19 10:45
不調と騒がれながらも、気づけば今季も既に10得点を決めている岡崎慎司。ブンデスリーガの得点ランキング上位に彼の名前があることは、もはや見慣れた光景となった。
「我慢した甲斐があったという感じですね」
そして1月31日に始まったブンデスリーガ後半戦でも、アシストはしても、自身がゴールを決めることはなかった。
「個人的には、評価などを気にせずにプレーしていた。いい調子でずっと来ていたし、チャンスはないけど、自分の成長は感じていたんです。何かもうひとつあれば……と思っているときに、監督が代わって、足りないピースがはまったとは思います。
前の監督のときは、自分たちがボールを持ってサッカーを始める感じだったけど、そうなると自分たちの創造性やテクニック、能力も求められる。そういうなかで、相手にボールを奪われて、カウンターで攻められて、自分たちのペースがつかめないという状況に陥っていた。そこで監督が代わり、速い攻撃ができるようになり、自分にボールが集まるようになって、我慢した甲斐があったという感じですね」
10試合もゴールから遠ざかっているという状況を冷静に受け止めていられたのは、ワールドカップ、アジアカップと続く代表での活動を経て、さまざまな角度から、自身のこと、サッカーのことを考えた結果だった。
ゴールという結果に左右されているうちは、まだまだ弱い。
「W杯が終わって、結果を求めて、求めてきたのに、アジアカップで負けてしまった。そこで思ったんです。今自分の中では、結果を求めるのは早いなと。
プロになって10年、ずっといろんなことを考えながら、結果を求めてやってきた。裏を狙うことにこだわったり、今度は足元で受けることを考えたり。迷うこともプレーを変えることも悪くはない。ただ、そういうときに自信をもってやれていたのか? って。
足元で受けるなら、自信を持って足元で受けないといけない。たとえばメディアに話すときにも『自分は迷っていない。ゴールのためにもプレーするけど、チームのためにもプレーをする』と言い切ることができていたのかなぁと。
アジアカップで『ゴールがないですね』と周りから言われると、『チャンスがないと結果(ゴール)も取れない』という風に思ったりした。でもそれは言い訳でしかなくて、そういう自分がイヤだった。チームを信頼していないみたいじゃないですか。
大事なのは、その環境で自分が何をすべきかを求めることなのに。結果に左右されてしまう自分の弱さを感じたんです。結果を求めることにもっと貪欲になり、そして生まれた現実は現実として、それが良くても悪くても受け入れて、前へ進んでいくしかないやろうって。
いろんなことを繰り返しながら、俺は一歩ずつ成長してきたと思うんです。ということは、答えを探すこと、その過程自体が答えというか、重要やなと。だから、ゴールが決まったとか、決まらなかったという結果に左右されているうちは、まだまだ弱いなと」