欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
岡崎慎司がまくしたてた濃密な15分。
端々に滲む、日本サッカーへの愛。
posted2015/03/19 10:45
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
3月17日夕方。マインツの練習場は活気にあふれていた。
2月17日に監督が交代し、U-23チームを指揮していたシュミット氏が就任後、上位チーム相手に2勝1分1敗。14位だった順位も11位まで上昇している。そんなチームのなかで、注目を集めているのがエース岡崎慎司だ。街中に設置された仮設ファンショップでも、一番目立つところに岡崎のゲームシャツが飾られていた。
3月7日のボルシアMG戦で10試合ぶりとなる同点ゴールを決めると、3月14日のアウクスブルク戦では先制弾をマーク。これで今季10得点目。昨季に続く二桁得点となった。
そんな岡崎はミニゲームでも、難しいパスをうまくコントロールしてゴールへ蹴り込むなど、ひと目でコンディションの良さが伝わってきた。
結果を求めることよりも、自分を磨くこと。
「監督が代わったとき、最初は走れなかったんです。前からプレッシャーをかけて、裏を狙ってという動きをしようとしたら、きつくて走れなかった。きっと、去年は『結果が出ればいい』と思っているところがあったんだと思うんです。ゴールを決めることばかり考えていたというか、結局あまり動いていなかった。それで、リアクションの動きがめっちゃ遅くなったんだと思う。どこかで楽をしていたのかもしれない。だから、結果を求めることばかりが“すべて”じゃないということなんですよ。自分を磨くことがすべてなんだと今は思っています」
食生活にも気を配り、体重を落とし、コンディションを上げることに集中しているという。
昨季は自身のキャリアハイとなる15得点をマークしたが、W杯ブラジル大会では1得点にとどまった。そして、新監督を迎えてスタートした'14-'15シーズン前半戦で8得点。しかし、そこでスコアは止まってしまう。2015年1月のアジアカップでも1ゴールしか決められなかった。日本代表のサッカーのなかで、守備やパスの受け手としての役割に忙殺され、岡崎らしさを失ったような印象だった。