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敵地無敗の“旅行代理店モンテッラ”。
同世代から抜け出した名将とフィオ。
posted2015/03/18 10:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
フィオレンティーナは、2つのカップ戦でタイトルの可能性を残している。
ELのベスト16ラウンドとコッパ・イタリア準決勝の1stレグをそれぞれ終えた青年指揮官モンテッラは、静かに闘志を燃やす。
「うちもそろそろトロフィーを掲げてもいい頃だ。私も指導者としてはまだ無冠だし、形に残るものを勝ちとりたい」
ヴィオラ(=フィオレンティーナの愛称)が最後に獲ったタイトルは、'01年のコッパ・イタリアだ。13年もタイトルから見放されている古豪だが、今季はどうやら様子がちがう。
欧州カップ戦で上位進出の鍵を握るのは、アウェーゲームでの勝負強さだ。
モンテッラのフィオレンティーナは、国外での試合で今季まだ一度も負けていない。それどころか、グラスホッパー(スイス)と戦った'13年夏のEL予選プレーオフから、欧州の舞台ではアウェーゲームの無敗記録を続けている。
アウェーでの突出した勝率で、ELのGLを首位で突破。
北はデンマークから南はギリシャ、東のウクライナから西端のポルトガルまで飛び回った2シーズン合計9カ国・9試合の通算成績は、7勝2分け。アウェーでの突出した勝率によって、モンテッラはチームを2季連続グループリーグ首位突破に導いた。
トッテナムとぶつかった今季のELベスト32ラウンドは苦戦が予想されたが、敵地ロンドンでの1stレグを1-1のドローに持ち込むと、主導権を握ったまま、フィレンツェのホームスタジアム「フランキ」で2-0の完勝を収め、トーナメントの歩を進めた。
広大な欧州を股にかけつつ、タイトルへ突き進む古豪フィオレンティーナ。地元紙は、指揮官の持つ引率力に敬意を込めて、彼へ“旅行代理店モンテッラ”の異名を進呈したのだった。