サッカーの尻尾BACK NUMBER
マンC戦をグアルディオラはどう見た?
バルサが抱える諸刃の剣・トリデンテ。
posted2015/03/19 16:30
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Getty Images
カンプノウのスタンドに懐かしい顔があった。
ジョゼップ・グアルディオラだ。
バルサのベンチを去ってから約3年ぶりに、彼はカンプノウへと戻ってきた。クラブにVIP席を用意してもらうわけでもなく、自らが所有する年間シートで、ゆっくりとバルサを眺めた90分間。
その目に映ったのは、彼が指揮していた頃とは全く異なるバルサの姿だった。
もちろん選手が違う。ネイマールやスアレスら選手の半数は、グアルディオラ退任以降に加入している。
プレースタイルも違う。現バルサにかつてのポゼッションとパスワークはなく、プレーはよりダイレクトだ。
しかし時がたっても変わっていないものもある。
リオネル・メッシの存在だ。
全盛期に戻りつつある、メッシのパフォーマンス。
3月18日のCL決勝トーナメント1回戦セカンドレグ、マンチェスター・シティ戦。前半のメッシは、シティの選手が何人がかりでぶつかっても止められなかった。メッシを抑えようとしたコラロフ、シルバが次々と警告を受ける。警告覚悟でなければプレーが止まらないくらいの高いレベルにあった。
グアルディオラが去ってからのメッシはパフォーマンスにやや波が見られるようになっていたが、この日のプレーは彼と共に過ごした全盛期を思わせるものだった。
この試合唯一の得点も、右サイドで相手をかわし、逆サイドへ送ったメッシのアシストから生まれている。
華麗にミルナーの股を抜いたプレーの際は、それを見たグアルディオラが何かを叫び感嘆する場面が画面に映し出された。
グアルディオラにとっては視察目的の観戦だったが、久しぶりのカンプノウでかつての教え子を見る姿は、純粋に試合を、10番のプレーを楽しんでいるようにも見えた。