錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
日本代表選手としての錦織圭に注目!
デ杯で日の丸を背負う戦いが、始まる。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2015/02/27 15:20
左から錦織圭、ダニエル太郎、内山靖崇、添田豪、伊藤竜馬、植田実監督。2014年のデ杯、チェコ戦での試合後の風景。怪我で欠場となった錦織も、チームの応援に駆けつけていた。
錦織の活躍で27年ぶりに最上位リーグに復帰した日本。
当時のことを鈴木はこう振り返る。
「(錦織は)周りに気を遣わせない性格なので、プレッシャーとか緊張とかはあったのかもしれないけど、表には出していませんでした。でもアウェーで、しかも苦手の芝という厳しい環境で、ランキングがずっと下の選手にフルセットで負けるというのは、デビュー戦としてはかなりキツい。だから、『デ杯はイヤだ、もう出ない』って思われると困るな、どうしようって、チームの中ではみんなで心配してましたけどね(笑)」
しかし心配は無用で、錦織はケガなどで不可能なときを除けばほぼ参戦。デビュー戦から3年後の2011年に日本はアジア・オセアニアゾーンと入れ替え戦を勝ち抜き、27年ぶりのワールドグループ復帰を果たした。
復帰1年目こそ1回戦で敗れて再び降格したものの、1年で這い上がり、昨年はワールドグループ初戦も突破し、日本史上初のベスト8入りを決めたのだ。もちろん錦織なくしては成しえなかった。
代表チームの負担が重くのしかかっていたが……。
振り返れば、日本チームの結果は錦織の出来にひたすらかかってきた。
アジア・オセアニアゾーンの初戦くらいは錦織なしでも勝つが、そこから先となると、錦織が欠場したり、ひとつでも負けたり、調整不足や体調不良で1試合しか出られなかったりすると、チームは負ける。出る限りは確実に2勝以上が求められるわけで、この責任の大きさたるや計り知れない。
だが、チームの誰に聞いても錦織がそんなことで思い悩んでいるようすは見たことがないと言い、だからチーム全体もリラックスできるのだという。
2013年、日本は再びグループゾーンでの戦いとなったが、地力がついた日本チームは錦織抜きで2ラウンドを勝ち抜いてプレーオフ進出を決めた。
迎えたコロンビアとのプレーオフは錦織にとって重要な意味があった。それまでチームに“与えてばかりだった”錦織が、このときばかりはデ杯から“与えられた”のだ。
あれは……錦織が全米オープンでまさかの1回戦敗退を喫した直後だった。