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攻撃の指揮はいまだ遠藤の独壇場。
アジア杯初戦で再確認した“特殊性”。  

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/01/13 11:20

攻撃の指揮はいまだ遠藤の独壇場。アジア杯初戦で再確認した“特殊性”。 <Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

A代表149キャップ目のアジアカップ初戦を、自らのゴールで祝った遠藤保仁。唯一無二の存在感は、衰えるどころか増してすらいるように感じられる。

ボランチ、トップ下、ウイングにもなった遠藤。

 時に下がってボールを受け、時に2列目から前に飛び出す。一時的に逆サイドの左に張り出すシーンもあった。ボランチ、トップ下、ウイング。あらゆるところに顔を出し、味方を活かし、味方に活かされようとした。遠藤は、試合後にこう話している。

「(相手の)ダブルボランチが自分と真司に付いていたんで、そのままだとどうしてもマークしやすくなってしまう。相手の目線を一度外す意味で、(本田)圭佑が中に入ってくることもあったし、そういうときに自分が張ってみたり……。もちろん(監督から)こういう形の攻撃を狙っていこうというインフォメーションはもらってますけど、最低限の形づくりをしたら自由にやっていい、と。だからある程度は自由にやらせてもらっています」

 パスで崩すこと、つなぐことに固執せず、あらゆる形でゴールを狙っていく。遠藤が率先して示した回答に、チームも即座に呼応していった。

遠藤との共存が、香川にもいい影響を。

 前半25分の追加点は、森重真人のフィードからだった。

「風がきつかった。何本かトライして、感じがつかめた」

 彼はシンプルに左サイドの裏に出すパスを試して風の影響を確かめたうえで、勝負のパスに再チャレンジした。長友佑都が粘って折り返したところに1点目をアシストした乾がつなぎ、こぼれ球に食らいつくように香川が強烈なシュートを放った。その軌道に岡崎が頭で合わせてゴールネットを揺らしたのだが、遠藤のゴールが頭に焼き付いていたからこそ香川も迷うことなくゴールを狙ったに違いなかった。実際、彼はこうコメントしている。

「こぼれ球が来たとき一瞬、パスを出して前に行くかどうか迷ったけど、シュートという意識を持っていたので、そこはシュートを打っていいや、と。押さえて打つことを意識した」

 この日の香川は3得点に絡む活躍ぶりだった。

 チーム3点目となった本田圭佑のPKは、香川が倒されて得たもの。後半4分には左サイドからクロスを送り、吉田麻也のゴールをアシストしている。遠藤との自由な共存が、香川にもいい効果をもたらした。

【次ページ】 遠藤の交代後、落ち着きが消えた日本。

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