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攻撃の指揮はいまだ遠藤の独壇場。
アジア杯初戦で再確認した“特殊性”。

posted2015/01/13 11:20

 
攻撃の指揮はいまだ遠藤の独壇場。アジア杯初戦で再確認した“特殊性”。 <Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

A代表149キャップ目のアジアカップ初戦を、自らのゴールで祝った遠藤保仁。唯一無二の存在感は、衰えるどころか増してすらいるように感じられる。

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph by

Takuya Sugiyama

 ニューカッスルの気まぐれな空。

 ついさっきまで晴れていたかと思えば、たちまち雲に覆われて横なぐりの雨が降りつける。試合が始まるころには雨が上がって、きれいな虹が浮かび上がっていた。

 吹き荒れる強風は収まるどころかますます勢いを増す。イスラエルとの対立を乗り越えて、初めてアジアカップの舞台に立ったパレスチナ代表が風上に立ち、逆にアギーレジャパンはオーストラリアの“気まぐれな空”を味方につけられないなかで、大会初戦のホイッスルが鳴った。

 前半6分、右サイドでボールを奪われてカウンターを浴びるなど、パレスチナを勢いづかせてしまう可能性のある立ち上がり。流れが相手に傾いてもおかしくはなかった。

 強風と、嫌な流れ。

 それをバッサリと断ち切ったのが、遠藤保仁の一振りだった。

 前半8分、乾貴士からのパスを受けた彼は迷うことなくミドルレンジからグラウンダーのシュートを見舞い、ゴール左にきっちりと決めてみせた。

「下がスリッピーだったので、打った瞬間入るかなと思いましたね」

 強風のマイナス面と雨のプラス面を考慮したうえで、濡れたピッチにボールを走らせた冷静な判断だった。チーム初シュートが先制ゴールとなり、これがチームに落ち着きと勢いをもたらした。

楽なゲームではなかったが、結果は順当。

 最終スコアは4-0。結果だけ見れば「順当」に見えるが、「楽なゲームではなかった。(パレスチナは)インテンシティ(強度)のあるチームだった」とハビエル・アギーレ監督は試合後に語っている。遠藤の先制弾が「楽ではないゲーム」の命運を大きく手繰り寄せた。

 彼の輝きを際立たせたのは、ゴールだけではない。

 背番号7の流動的かつ自由な動きが、パレスチナの組織的な守備を混乱させた。

 1トップの岡崎慎司、アンカーの長谷部誠というセンターラインを背骨の軸として、その周りでインサイドハーフの遠藤、香川真司がポジションチェンジを繰り返して、自由に動く。そうすることで、マンツーマン気味に荒くディフェンスに来る相手をいなした。

【次ページ】 ボランチ、トップ下、ウイングにもなった遠藤。

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