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復活途上での日本球界復帰。
松坂大輔の選択が「吉」な理由。
posted2014/12/19 10:50
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
NIKKAN SPORTS
Bクラス(4位)に沈んだ'13年オフ、ソフトバンクはFA権を取得した中田賢一(中日)、鶴岡慎也(日本ハム)に続き、自由契約になった他球団の外国人、ウルフ(日本ハム)、サファテ(西武)、スタンリッジ(阪神)、李大浩(オリックス)を獲得した。
'98年以降の17年間でBクラスに沈んだのは'13年以外では'08年の最下位の時だけである。その'08年オフは、昨年ほどなりふり構わぬ補強はしていない。目立った補強は前年ロッテに在籍していたオーティズを'09年のシーズン途中に獲得しているくらいである。それほど'13年オフは危機感を募らせていたということだろう。
今オフのソフトバンクは、一転して静かだ。目立った補強と言えば9年ぶりの日本復帰を果たす松坂大輔(メッツ)を獲得したことぐらいだが、この松坂が活躍できるかどうか、外野の声が喧しい。'99~'06年まで8年間西武に在籍し、通算108勝60敗、防御率2.95という成績を挙げ、'07年にはポスティングシステムを利用して渡米、レッドソックスへの入団を果たしている。
2年目にはサイ・ヤング賞の投票で4位にもなったが……。
メジャーでは1年目、32試合に先発して15勝12敗、防御率4.40という成績で、チームのワールドシリーズ制覇に貢献。2年目は18勝3敗、防御率2.90とさらに成績を伸ばし、サイ・ヤング賞の投票では4位の得票を得た。
その松坂の成績が降下するのは3年目からだ。右肩、右ヒジの故障が続き、'11年のシーズン中には損傷した右ヒジのじん帯を切除し、正常な腱を移植する「トミー・ジョン手術」を受けた。
'09~'12年の成績は17勝22敗と、合計しても勝ち星はメジャー2年目のそれにも満たない。後に、黒田博樹(広島→ドジャース→ヤンキース)、ダルビッシュ有(日本ハム→レンジャーズ)、岩隈久志(楽天→マリナーズ)、田中将大(楽天→ヤンキース)が海を渡って活躍したこともあり“過去の人”のような扱いを受けている、というのが松坂の置かれている現状である。