詳説日本野球研究BACK NUMBER
復活途上での日本球界復帰。
松坂大輔の選択が「吉」な理由。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/12/19 10:50
王貞治球団会長から「背番号18」のユニフォームを受け取ったソフトバンク・松坂大輔。「世界一を目指しているチームの一つのピースになる」と、一羽の鷹として闘志を燃やす。
吉井、伊良部、石井と比較してみると?
松坂の日本復帰1年目の成績は、先輩たちの成績を参考にして予想したい。先発タイプでメジャーでもそれなりに活躍した投手、その条件に当てはまるのは次に挙げる3人だろう(上段の成績はメジャー最終年、下段の成績は日本復帰1年目の成績)。
◇吉井理人
'02年(エクスポズ)31試合、 4勝9敗、防御率4.11
'03年(オリックス) 24試合、 2勝7敗、防御率6.51
※MLB通算5年/32勝47敗、防御率4.62
帰国後5年/16勝31敗、防御率5.32
◇伊良部秀輝
'02年(レンジャーズ)38試合、 3勝8敗16セーブ、防御率5.74
'03年(阪神) 27試合、13勝8敗、防御率3.85
※MLB通算6年/34勝35敗16セーブ、防御率5.15
帰国後2年/13勝10敗、防御率4.44
◇石井一久
'05年(メッツ) 19試合、 3勝9敗、防御率5.14
'06年(ヤクルト)28試合、11勝7敗、防御率3.44
※MLB通算4年/39勝34敗、防御率4.44
帰国後8年/65勝57敗、防御率3.94
参考までに紹介すると、松坂のメジャーでの成績は通算8年で56勝43敗、防御率4.45。私は投手としての成功の基準を「50勝」に置いているので、松坂はメジャーでも十分に成功選手の基準を満たしている。
石井の帰国1年目の成績は楽にクリアするのでは。
さて、来季35歳という松坂の年齢や日米での活躍度を見ると、上記3人の中では石井が一番タイプが近い。石井が日本に復帰したときの年齢は33歳。渡米前の日本での通算成績は78勝46敗、防御率3.38。日本復帰時の年齢は石井が2歳若く、渡米前の日本球界での成績は松坂のほうが30勝多い。その2つの要素を相殺して五分五分というのが私の両選手に対する評価である。
その石井が帰国1年目に挙げた成績は11勝7敗、防御率3.44。松坂が入団したソフトバンクは得点力のある打線を持ち、リリーフ陣も強力なメンバーが揃っているので、この成績は楽にクリアできるのではないだろうか。