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遠藤保仁が、激動の1年を振り返る。
「今季はキャリアハイじゃない」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2014/12/17 10:30
遠藤保仁にとってJ1優勝は2度目、ナビスコ杯優勝は2度目、そして天皇杯優勝は3度目となった。来年はACL、代表でのアジア杯もある。遠藤のキャリアハイはいつ訪れるのだろうか。
W杯の惨敗で新たにした、代表への思い。
5月の名古屋戦では「コンディションが上がってきた」と、自分の調子に手応えを感じていた。そのまま調子を上げて、ブラジルW杯に突入していった。
しかし、ブラジルW杯は無残な結果に終わった。遠藤は、直前になってレギュラーから外れることになった。
2013年の欧州遠征、オランダ戦、ベルギー戦で後半から投入され、チームの流れを変える役割を果たし、結果を出した。W杯直前のコスタリカ戦も途中出場で結果を出した。そのため、遠藤の交代投入がオプションではなく、完璧なプランとして確立してしまっていたのだ。
遠藤はコートジボワール戦、ギリシャ戦ともに途中出場だった。しかし、欧州遠征の時のようにチームの流れを変える仕事ができなかった。コロンビア戦は完敗を喫し、グループリーグ敗退が決まった。
「自分が出れないのも納得がいかなかったし、チームとして結果が出なかったことは残念だった。自分たちのサッカーができず、あれだけいいメンバーがいたのに勝てなかった。涙も出ないくらいショックだった」
遠藤は、グループリーグ最終戦となったコロンビア戦に出場できなかった。絶対に勝たなければならない試合を、ピッチの外から眺めることしか出来なかった。全力を出し切って戦うことなくブラジルを去った遠藤の胸中は、悔しさで張り裂けそうだったに違いない。
同時に、この悔しさを晴らすには、またこの舞台に戻ってこなければならない。大会終了後、代表引退について再三聞かれていたが、「現役をやめるまで代表引退はしない」と言い切ったのは、その強い想いがあったからだ。
休暇明け、遠藤のパフォーマンスはキレキレだった。
ブラジルから早めの帰国となった中、遠藤は休暇を取り、W杯の疲れを洗い流した後、クラブに合流した。この休養期間は遠藤にとって非常に大きかった。Jリーグの中盤戦、後半戦に向けてしっかりとコンディションを調整することができたからだ。
それを証明するように中断明けの遠藤のパフォーマンスは“キレキレ”だった。宇佐美も完全に復調し、今野も一時期の不調を脱した。役者が揃い、ガンバの快進撃はここから始まった。
「最初の3つ(甲府、清水、神戸)を勝って勢いに乗ったのが大きかった。特に清水戦は4点、神戸戦は5点取って勝てた。中断前は攻撃がもうひとつ機能していなくて2点以上取れなかったけど、中断時期にパトリックが来て、攻撃の幅が広がったし、その結果、阿部(浩之)ちゃんとか2列目の選手の動きも良くなった。今、相手はガンバと当たりたくないと思っているでしょ。そういう気持ちにさせているのは自分たちの力だと思う」