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Jリーグトライアウトは“気づき”の場所。
元浦和、21歳野崎雅也の「瀬戸際」。

posted2014/12/17 12:25

 
Jリーグトライアウトは“気づき”の場所。元浦和、21歳野崎雅也の「瀬戸際」。 <Number Web> photograph by Satoshi Shigeno

野崎は育成年代からの同期である矢島をはじめ、浦和や福岡時代のチームメートから「がんばってこい、やってやれ!」とエールを送られてこのトライアウトに挑んだ。

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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Satoshi Shigeno

 温度計の針が指し示していたのは4度をわずかに下回る数字。いつ雪に変わってもおかしくない冷たい雨が降りしきる中、名古屋グランパスのホームスタジアム・瑞穂陸上競技場で“サバイバル”に臨む選手たちの声が響いた。

 16日に行なわれた「2014JPFAトライアウト」。

 2002年から行なわれているJPFA(日本プロサッカー選手協会)主催によるこのイベントは、各クラブから契約満了を伝えられた選手のアピールの場として、毎年開催されている。今年は主にJ2、J3の選手を対象にした第1回がフクダ電子アリーナで行なわれ、そして第2回はJ1、そしてJ1昇格プレーオフに出場したクラブの選手が対象となった。

 第1回には計74人のJリーガーが参加したものの、この日は25人ほど。当初は午前・午後の2回に分けて開催予定だったが、人数が少なかったために午前開催のみとなった。

有名選手の中で気になった野崎雅也という選手。

 報道陣、そして62団体・100人を越えるクラブ関係者以外には非公開で行なわれたトライアウト。その中にはサッカーファンにとっては馴染みのある名前もあった。

 '06年から3年連続でJ1ベストイレブンに輝き、G大阪や千葉で長年活躍したDF山口智。

 東福岡高時代に高校3冠を達成し、J1、J2でも通算291試合に出場したDF千代反田充。

 他にもGK江角浩司、MF佐々木勇人らJ1での出場試合数が100を超える選手たちが必死のプレーを見せた。そんな中で、第1回と第2回の両方に参加した選手がいる。

 まだプロ3年目、21歳の野崎雅也である。

 原口元気や山田直輝をはじめ、ここ数年で多くの選手がトップチーム昇格を果たしてきた名門、浦和ユース。野崎はジュニアユース時代から浦和の下部組織に在籍し、'11年にはユース所属ながら天皇杯に出場するなど大きな期待を背負う存在だった。そしてその翌年、同じく下部組織で切磋琢磨した矢島慎也とともにプロの門を叩いた。

 しかし、浦和に所属した2年間で出場した公式戦はわずか「2」。それも'13年の天皇杯の2試合だけで、リーグ戦でのデビューは叶わなかった。すべてのポジションに日本代表経験者が並ぶ浦和の選手層は厚く、練習時は紅白戦のメンバーにも入れないことも多く、コーチとの個人練習に黙々と取り組んでいた姿が印象に残っている。

【次ページ】 「瀬戸際は、経験してみないとわからない」

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