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遠藤保仁が、激動の1年を振り返る。
「今季はキャリアハイじゃない」
posted2014/12/17 10:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
AFLO
天皇杯決勝、モンテディオ山形を3-1で下しトリプルクラウンを達成すると、遠藤保仁は、ホッとしたような表情を見せ、今野泰幸らと握手を交わした。
「やっと1年が終わったという感じだね」
2014シーズンすべての日程が終了し、思わずこぼれた言葉には1年間フルに戦い切った実感がこもっていた。
遠藤にとって、今シーズンは大きな目標が2つあった。
ひとつは、ブラジルW杯で南アフリカW杯以上の成績を残すこと。もうひとつは、J2からJ1に昇格したばかりのガンバ大阪で優勝争いに絡み、タイトルを獲ることだった。
ガンバでは、1月の沖縄合宿、2月の宮崎合宿ともに順調にシーズンの準備が進んでいた。宇佐美貴史が2月下旬に負傷し、8週間もの離脱を余儀なくされたが、遠藤にとっては主力がケガをすることもある意味想定内のことで、さほど深刻には捉えていなかった。
しかし、エースの不在は思った以上の痛手だった。Jリ-グ開幕戦の浦和には0-1と敗れ、その後も鳥栖、鹿島には点が取れずに完封負けを喫するなど攻撃力がガタ落ちした。
「貴史の不在は、まぁ仕方ない。いる選手がチャンスだと思ってやればいい。ただ、守備の意識が強すぎたかなと。もうちょい押し上げていかないと前の人数が足りないんで、なかなかチャンスを作ることができない。そこが課題かなと思っていた」
降格圏に沈んでも、ポジティブな姿勢は崩さず。
その後も勝ち星に恵まれず、川崎、柏、横浜FMに3連敗を喫するなど、ブラジルW杯中断前は16位まで落ち込んだ。W杯イヤーの春先の遠藤は、あまり調子が良くない。南アフリカW杯の時も「絶不調」とマスコミに叩かれた。今シーズンも最初はミスが多く、左足首のケガの影響か、運動量も少なかった。チームはJ2降格圏に沈み、2012年の悪夢が頭をよぎったが、遠藤はそれでもポジティブな姿勢を崩さなかった。
「順位は16位なんで当然、チームにも個人的にも満足はしていない。でも、中断明けはもっといけると思う。最初はまだJ1のスピードとか質の高さとかに戸惑っていたけど、だいぶ慣れてきた。
それに貴史が復帰して、攻撃も機能するようになった。監督のやろうとしていることが徐々に出来ているのも実感しているし、徳島戦や名古屋戦の内容は悪くなかった。まぁ中断明けからでしょ。俺は何も心配していない」