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不変の軸と、開花したリーダー性。
侍J、SBの中心に松田宣浩がいる。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2014/12/09 10:50

不変の軸と、開花したリーダー性。侍J、SBの中心に松田宣浩がいる。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

今季は怪我で離脱したものの、最終的に101試合に出場し、打率も3割をキープした松田宣浩。日米野球でも唯一敬遠されるなど、強烈な存在感を放った。

日米野球について「僕らは真剣でしたよ!」。

 ただ、いくら「壮行試合」という名目で開催された日米野球とは言っても、日本とアメリカの温度差は大きくかけ離れている。

 日本はベストメンバーで臨んだとしても、アメリカはプホルスなど数多くの超一流メジャーリーガーが出場を辞退したりと、本当に真剣勝負と言えるのだろうか? 周囲はどうしてもそんなイメージを抱いてしまう。

 しかし松田は、「捉え方は人それぞれなんで」と前置きしながらも、そのような一般論を否定するように、侍ジャパンの一員として真の目的を熱弁する。

「僕らは真剣でしたよ! 小久保(裕紀)監督が『日米野球は強化試合の一環だぞ。勝ちに行くからな』ってずっと言っていたからですね、選手だってみんな、『結果残さんかったら交代させられる』と思っていたし。

 代表に選ばれて試合に出る以上、『あいつ、もういらんわ』って監督から思われてしまったらおしまいだから。今回だけの侍ジャパンじゃないんですよ! 小久保監督は2017年のWBCまで任期があるわけで、僕らも世界一になるためにやっているわけだから、1打席、1球に対しても本当に真剣にプレーしましたからね。(中田)翔なんて、4番を任されただけに気合が入っていましたよ」

ベテランと呼ばれる世代になってきた松田。

 今年の日米野球に出場した30代の選手は、松田を含めて5人。前回のWBCが12人だったことを考えれば大きく若返った。

 これについて松田は、「これからは若い力も大事になるけど、実績と経験がある選手もチームには必要だと思う」と語る。それを自覚していたからこそ、松田は“聖域”とも呼べる背番号をあえて背負い、勝利への執着心を強く抱き、結果にこだわったのだろう。

 所属するソフトバンクでもそうだ。いや、むしろソフトバンクでチームリーダーとして1年を過ごし、結果を出すことができたからこそ、自信を持ってそう言えるのだ。

【次ページ】 「最低でも日本一」という張り詰めた雰囲気。

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