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沖縄出身の野球選手は大成しない!?
中日・又吉克樹はジンクスを破るか。
posted2014/12/05 10:40
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
NIKKAN SPORTS
いよいよ出てきた。そんな感がある。
沖縄出身のプロ野球選手は大成しない――。そんなジンクスを破る男である。
今季、中日のセットアッパーとして大車輪の活躍をした中日のルーキー又吉克樹だ。
67試合に登板し、防御率は2.21。また、リリーフながら9勝を挙げた。新人王こそ逃したが、対抗選手によっては、選ばれても遜色ない数字だった。
あるスカウトがぼやいていたことがある。
「沖縄の選手には、何度となく裏切られてきたからね……。素質はすごいもんを持ってるんだけど、むらっ気がある」
沖縄出身の投手は、いいときはいいのだが、それが長続きしない選手が多かった。
少し前で言えば、阪神の仲田幸司がそうだった。その後で言うと、今年ソフトバンクからヤクルトへ移籍した新垣渚や、ロッテの大嶺祐太もそうだ。素質を生かし切れていない。
近年では、2年連続で6勝を挙げた巨人の宮國椋丞も飛躍が期待されたが、4年目の今年はわずか1勝に終わっている。
ある球団の投手コーチの「証言」。
その根底にあるのは、沖縄人的な「なんくるないさ(なんとかなる)」「てーげー(だいたい)」といった県民性だと言われ続けてきた。
ある球団の投手コーチは沖縄人独特のペースをこう話す。
「ブルペンでも一球一球、投げるのが遅いんだよね。一球投げて、ぼーっとしている。『おい!』って言わないと投げないんだよ」
しかし、沖縄は女子プロゴルフやプロボクシングなど個人競技の世界では、何人もの傑出したアスリートを輩出してもいる。また高校野球の世界でも近年、沖縄勢の躍進は目覚ましい。ところが、不思議とプロ野球選手になると伸び悩むのだ。
既述した選手は高校卒業後、すぐにプロの世界に飛び込んだ選手が多い。そのため沖縄人からすると、環境のギャップが大きすぎたのかもしれない。