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C大阪が抗う“今そこにある降格”。
「恐がらず、アグレッシブに前へ」
posted2014/11/27 10:40
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
奇跡の風は吹くのだろうか。
17位のセレッソ大阪は前節、14位のベガルタ仙台とJ1残留を懸けた決戦に挑んだが、3-3のドローに終わった。結果、17位を抜け出すことはできず、残留ラインとなる15位の清水エスパルスとの勝ち点差は4。次節の鹿島戦に負ければ無条件でJ2降格が決定。仮に鹿島に勝利しても清水、仙台の結果如何では最終節を待たずに残留の可能性がなくなるという、まさに崖っ縁に追い込まれてしまった。
シーズン開幕前は、まさかC大阪が残留争いに巻き込まれるとはまったく想像できなかった。若手を育て、一時代を築いたクルピ監督は去ったが、昨年4位の実績に加えてフォルランを獲得するなど戦力は充実。残留争いというよりは、優勝候補のひとつに挙げられていたのだ。
だが、蓋を開けるとチームは迷走した。それはポポヴィッチ新監督が求めたチームスタイルの変化に端を発している。柿谷曜一朗を生かす昨年までのサッカーから、全体のラインを下げ、フォルランを軸にした5バック気味のカウンター重視のサッカーに移行した。
その変化は、選手のプレーに多大な影響を及ぼした。サイドに置かれた柿谷は自分のフォームを崩し、ブラジルW杯前まで13試合でわずか1点に終わった。2013年に21点を奪った選手を生かせず、勝ち点16の13位で中断期間を迎えることになった。
危機感を募らせたC大阪はポポヴィッチを解任し、ペッツァイオリ監督を招聘。だが監督交代も浮上のキッカケにはならず、逆にリーグ戦9試合勝ち星なしのどん底状態に陥った。
2度目の監督交代も、残留争いの相手に勝てず……。
9月8日、J2降格圏の16位に落ち込んだことを受けて、再びペッツァイオリ監督を解任。今シーズン3人目の指揮官として下部組織のU-18を率いていた大熊裕司がトップチームの監督に就任した。
南野拓実ら若手を育てた監督の昇格でチーム内に漂う危うい空気を一掃しようとしたが、監督交代という“劇薬”は今回もそれほど効果的ではなかった。清水、甲府、仙台など残留を争うチームとのゲームで、まったく勝利を手にすることができなかったのだ。
「今思えば、ポイントとなるゲームはたくさんあります。10月にエスパルスに負けた試合、甲府に1-3で負けた試合、F・マリノスに引き分けた試合もそう。でも、一番ガクッときたのはアウェイの鳥栖戦です。後半いい感じで攻めれたんで、余計にロスタイムでやられたショックが大きかった」
扇原貴宏は、そう言った。