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C大阪が抗う“今そこにある降格”。
「恐がらず、アグレッシブに前へ」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2014/11/27 10:40
柿谷曜一朗がクラブを去り、山口蛍が故障で離脱。背番号13を背負う南野拓実は、今季まだ2得点。「奇跡」を起こすにはこの男のゴールが必要だ。
南野「点を取ってもビビッてしまうのは最近の傾向」
鳥栖戦後の徳島戦は3-1で勝ったものの、つづく横浜F・マリノス戦ではスコアレスドロー。失点しないために低いラインを敷いたが、試合はストレスが溜まる展開だけが繰り返された。その後の甲府戦では、1点を先制するも逆転負け。後半は、とてもリードしているチームとは思えないほど消極的だった。
「点を取ってもビビってしまうのは、うちのチームの最近の傾向です。それで終わったらいけないんで、恐がらずにどれだけ前に出ていけるかですね。自分たちは守備のチームではないんで」
南野拓実の言葉には、チームへのもどかしさが溢れている。
負けて自信を失ったチームは、先制しても失点を恐れ、無理をせずに1点を守り切ろうとする。堅守をコンセプトにしているチームならそれで問題ないだろう。だが、C大阪はそういうスタイルではない。相手が先制点を失い、ショックを受けている中、畳み掛けて追加点を奪う。昨年までのC大阪はそれが出来ていたが、今季は南野の言うようにポジティブさに欠ける試合が多い。
扇原「もう守っても仕方ないんで」
前節の仙台戦は打ち合いの末、ドローに終わった。0-2から追い付き、再度引き離されたがアディショナルタイムにカカウのゴールで同点に追い付き、勝ち点1を獲得した。この後半の粘り強さは、今季のC大阪に見えなかったものだった。
「残り試合、イメージとしてはナビスコ杯での川崎戦のようなアグレッシブな試合ができればいいと思います。エスパルス戦も甲府戦も中途半端な試合やったし、もう守っても仕方ないんで、自分たちの持味であるアグレッシブなサッカーをやるしかない。90分間、それができれば残り試合を取ることができると思います」
扇原は、そう言った。
練習での選手の表情も暗くなく、声もよく出ていた。扇原らがこういう状況でも下を向いていないのは、ピッチで戦う選手だけではなく、いろんな選手の想いや声を背負っているからだ。
「どんな状況になっても可能性がある限り、諦めることなんてできない。蛍(山口)くんとか試合に出れない選手がいる中、試合に出ている選手には結果を残すという責任がある。試合に出られない選手や、クラブやサポーターの期待に応えないといけない」