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内田篤人にとって、最も厳しいCLに。
大敗、ブーイング、自力突破消滅。
posted2014/11/26 16:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
試合前から、シャルケには不穏な空気が流れていた。
前節のアウェーでのスポルティング戦に2-4で敗れたため、この節の結果次第ではグループ2位から3位へと転落してしまう状況になっていたからだ。
土曜日に行なわれたヴォルフスブルク戦では、左サイドバックのアオゴの出場停止を受けて、ディマッテオ監督は試合の2日前に急きょテストした3-5-2を採用。内田が加入する前の2009年以来となる3バックで戦ったシャルケは、奇襲に見事成功した。リーグ2位のヴォルフスブルク相手に3点を先取して、2点を返されながらも3-2で勝ちきっていた。
アオゴが戻って来たとはいえ、この試合でも3バックを採用するかと思われていたが、チェルシー戦は4-1-4-1でスタートした。ヘベデスを左のサイドバックにして、アオゴは左MFにまわす奇策に出た。
しかし前半2分にコーナーキックをファーサイドで競り負けて、あっさりテリーに先制ゴールを許してしまった。格上との試合で、セットプレーからキックオフ直後に先制を許すという最悪の立ち上がりだ。
内田の攻撃参加からチャンスをつくるも……。
それでも前半13分には、ヘーガーが右サイドに出したパスを内田がダイレクトでフンテラールへ。フンテラールがモティンクに流すと、ドリブルでしかけてシュート。これがDFにあたりコースが変わってゴール方向へ飛ぶ。しかし、シュートはクロスバーにはじかれてしまう。
「自分が絡まないといけないと思っていた。なかなかシュートまでいけなかったし。その分、高い位置をとるけど……」
内田は試合後にそのように語り、ディマッテオ監督が「あれが入っていれば」と悔やんだシーンでもあった。
ただこの日のシャルケは、DFラインを上げているものの、中盤から前の選手のプレッシャーは甘かった。そのため、簡単にDFラインの裏のスペースを使われてしまう悪循環に陥った。センターバックであるヘベデスを左サイドバックで使うという奇策も、これでは実るはずがない。