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内田篤人にとって、最も厳しいCLに。
大敗、ブーイング、自力突破消滅。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/11/26 16:30
チェルシーに大敗し、グループリーグ突破の危機に瀕した内田篤人とシャルケ。ブンデスリーガでも7位とEL圏外に停滞し、苦しい戦いがつづく。
ホームスタジアムがブーイングに包まれた。
29分にはシャルケの左サイドの背後をウィリアンにつかれ、2点目を奪われてしまう。
スタジアムを満員に埋めたファンも、思わぬ展開に落胆の色を隠せない。
チェルシーのカウンターの切れ味が鋭かったとはいえ、守備にも穴があった。プレスも甘く、選手間の距離も遠かった。シャルケの選手たちが落ち着いてボールを受けられれば、チャンスが作れそうな気配はあった。しかし、簡単なミスからボールを失う展開が続く。試合ごとにコロコロとフォーメーションを変えてきたことも、選手たちの距離感を狂わせていたことの一因ではあるだろう。
そうやってシャルケの拙攻が続くと、40分過ぎにはスタンドから次々とブーイングが送られる展開に。
「うちは良いスタジアムなだけに、1回ああいう雰囲気になると、なかなか取り返しがつかない……」
内田もそう振りかえったように、ホームとは言い難い雰囲気が漂ってきていた。ディマッテオ監督就任以来、4戦全勝を誇っていたホームゲームのアドバンテージもそこにはなかった。
そして、前半44分に相手のコーナーキックをキルヒホフがオウンゴール。前半だけで0-3というスコア。これで試合の行方はほぼ決まってしまった。
「0-3になった前半で、ほぼ終わっていたんじゃないかな」
内田も試合後にはそう悔しさをにじませていた。
チェルシーに0-5の大敗。
後半に入り、シャルケも交代のカードを切り、途中交代のクレメンスと内田のコンビネーションから、右サイドを起点に何度かチャンスを作っていく。しかし、右サイドバックの内田がオーバーラップすると、相手は2人がかりでマークについてくるようなシーンが目立った。
結局、後半チェルシーにさらに2点を許したことで、シャルケはホームで0-5の大敗を喫してしまった。
スポルティングがマリボルを下していたため、最終節を前にシャルケは3位に転落。シャルケが2位の座をつかむためには、最終節でシャルケがマリボルから勝利をつかみ、なおかつ、スポルティングがチェルシーに負けないといけない。すでに自力での決勝トーナメント進出の可能性はなくなってしまった。