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大学生がプレミアのクラブで研修!
面接突破の最大の要因は「旅行」?
posted2014/11/27 16:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Shinya Kizaki
「エバートンの面接ではなぜか旅行の話で盛り上がって、 合格が決まったんです」
中村達(エバートンのインターン、リバプール・ジョン・ムーア大学3年生)
学生をしながらプレミアリーグのクラブで実地研修をする――。サッカーファンなら誰しもが憧れる体験だろう。それを実現したのが、リバプール・ジョン・ムーア大学の中村達(21歳)だ。
中村は中学卒業後に日本を飛び出し、オーストラリアの高校へ留学した。英語を勉強しながら「サッカー界で働きたい」という思いを募らせていたとき、イングランドのリバプール・ジョン・ムーア大学の存在を知った。
すぐに学費が用意できなかったため、1年間カナダにワーキングホリデーで滞在したのち、2012年夏に同大学の「サイエンス&フットボール」学科へ入学した。中村はこう振り返る。
「最初は『留学したら大学受験で有利かな』くらいにしか考えてなかったんですよ。でも、もっと英語の自信をつけたくて、帰りたくなくなった。そして本気でサッカーの指導者を目指そうと思いました」
同学科の1クラスは約30人。1年生のときは5つの講座があり、運動学習学(人がどう動作を覚えるかなど)、社会学(サッカーの移籍市場など)、生理学、生体力学、サッカー科学、情報収集学などを学んだ。2年目はさらにサッカー関連の授業が増えた。
3年生は実習が義務づけられ……。
そして今夏、3年生に進級すると実習が義務づけられた。すでに中村は日本人の先輩のツテで、2年生の途中から当時イングランド3部(現4部)のトレンメアというチームのデータ分析を手伝っていた。ビデオで試合を撮影し、大学のソフトで専門的な解析を行なう。
その作業は楽しかったが、もし可能なら他の経験も積んでみたい……。そう考えていると、中村に大きなチャンスが転がってきた。
「どこでインターンをしようかなと考えていたら、大学の心理学の先生から『こんな募集がある』という情報が一斉メールで送られてきた。それがエバートンのインターンでした。書類審査を通ると面接があり、合格することができました」