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バロテッリが守備に戻った!?
リバプールでの初戦で見せた「改心」。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2014/09/05 10:30

バロテッリが守備に戻った!?リバプールでの初戦で見せた「改心」。<Number Web> photograph by Getty Images

「『わがまま』から『自己犠牲』へ」と、プレミア再デビューの試合でバロテッリは高評価を受けた。

「点取り屋」ならぬ「気分屋」だったが……。

 個人としてのキャラクターが今更変わるとは思えない。むしろ、そのままであって欲しい気もする。良い意味での太々しさや茶目っ気はバロテッリの魅力だ。ジェラードによれば、リバプールでも、移籍3日目にしてロッカールームの「DJ役」に自分で自分を指名。同時に“ファブ4”ことビートルズ4名の顔を自身の顔に挿げ替えた「バロテッルズ」なる合成写真をインスタグラムで披露して、リバプール市民を笑わせてもいる。

 問題は選手としてのキャラクターだ。ピッチ上でのバロテッリは、前線に張ってゴールを決めるだけの印象が強い。センターFWなのだからそれでいいようにも聞こえるが、思い通りにいかない試合では、ふて腐れて自滅してしまう。頼れる「点取り屋」というより、あてにならない「気分屋」なのだ。

 そのため、ミランでの昨季はリーグ戦30試合で14得点、マンCが優勝した2011-2012シーズンのプレミアでも23試合出場で13得点というように、まずまずの得点率を残していながらも、戦力としての評価は芳しくない。

 代表でも、1ゴールとイエロー2枚に終わったブラジル大会後には、早期敗退の原因となった期待外れのFWとして母国民に非難された。大会後に就任したアントニオ・コンテ新代表監督には、9月上旬の代表ウィークでメンバーから外され、取り組み姿勢の改善を求められてもいる。

同じ問題児でも、スアレスは勝利のためには全力だった。

 ピッチ上での「自己中」は、ロジャーズ率いるリバプールでも御法度だ。

 チームのモットーは、ボールを持てば後ろから攻撃を組み立て、ボールを失えば前から守備を開始する姿勢にある。敵陣内でのプレッシングもストライカーの仕事。本来の攻撃面にしても、自らゴールを脅かすプレーと共に、相手DFを引き付けるオフ・ザ・ボールでの動きや、タメを作って周囲を呼び込むプレーのような献身が90分間を通して要求される。

 昨季までのエースで、今夏にバルセロナへと去ったルイス・スアレスも、やはり「問題児」のレッテルを貼られたストライカーではあった。リバプール在籍3年半の間に2度、相手選手への人種差別的な発言と噛み付きの危険行為で長期出場停止を言い渡されている。

 但し、チームの勝利のために全力を尽くす姿勢に関しては「模範生」だった。新ストライカーが身勝手な「問題児」のままであれば、昨季プレミアで31ゴール12アシストを記録した先代の穴が埋まらないばかりか、得点力と並んで昨季リバプールの特長だったチームの一体感が弱まりかねない。

【次ページ】 復帰初戦は「改心」を予感させるものだった。

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