プレミアリーグの時間BACK NUMBER
バロテッリが守備に戻った!?
リバプールでの初戦で見せた「改心」。
posted2014/09/05 10:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
いわゆる「スター」には、「素顔はイメージとは違う」という身内の発言が付き物。しかし、マリオ・バロテッリは例外のようだ。
「トラブルメイカー」として知られる24歳が、リバプールの新ストライカーとしてプレミアリーグ再デビューを果たした8月31日のこと。スカイスポーツは、試合中継の一環としてキックオフ前にスティーブン・ジェラードのインタビューを流した。
聞き手が親友でもある元チームメイト、ジェイミー・キャラガーということでリラックスしていたせいもあったのだろう。リバプールのキャプテンは、質問がバロテッリに及んだ瞬間に思わず苦笑い。続けて「才能に疑いの余地はない」と言いつつも、「分別のある行動ができるかどうか見守ってやろうじゃないか」とコメントしたのだった。
「素行」の問題で下がり続ける移籍金。
「素行」に問題があると言われるバロテッリにとって、今回のリバプール入りは過去7年間で4度目の移籍にあたる。インテル・ミラノ、マンチェスター・シティ、ACミラン、そして今回のリバプールという具合に強豪続きだが、いずれの場合もクラブに惜しまれるのではなく「望まれて」去っているのが実情だ。
その証拠に移籍金は下がる一方。リバプールがミランに払った1600万ポンド(約27億円)は、4年前のマンC移籍時の金額を14億円近くも下回る。年齢的には、これからが選手としてのピーク。曲がりなりにもレギュラーとして今夏のW杯に出場したイタリア代表で、プレミア優勝経験まで持つストライカーとしては破格の「処分価格」だ。
獲得に踏み切ったブレンダン・ロジャーズ監督は「リスクは承知の上だ」と語り、「超お買い得FW」購入による補強成功への自信を窺わせる。だが、「更正」が期待できる理由として、「父親になって責任感も芽生えているだろう」と発言している。つまり、既に3度も「処分」されているバロテッリは、指揮官が「ビッグクラブでのラストチャンス」と認識するリバプール移籍に際しても、「父親」としての自覚に望みを掛けたくなるほど精神面の成熟度が怪しいということになる。