プレミアリーグの時間BACK NUMBER
バロテッリが守備に戻った!?
リバプールでの初戦で見せた「改心」。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/09/05 10:30
「『わがまま』から『自己犠牲』へ」と、プレミア再デビューの試合でバロテッリは高評価を受けた。
復帰初戦は「改心」を予感させるものだった。
幸い、第3節トッテナム戦(3-0)でのデビューは、ピッチ上での「改心」を予感させる内容だった。キックオフ前の入場時、いるはずのリバプール最後尾にいなかった点はご愛嬌。遅れて登場したバロテッリは、心から嬉しそうに目を輝かせた表情でプレミアのピッチに戻ってきた。得点には絡んでいないが、10点満点で7点を与えても良い出来だった。
開始早々2分には、ユーゴ・ロリスにセーブを強いたヘディングで先制ゴールに肉薄。他にもチャンスが2度あった。自らゴールに迫る一方で、力強いキープでビルドアップに絡み、当人曰く「管轄外」だったはずの相手CK時の守備でも、「ウチでは担当してもらう」という指揮官の指示に従って無難なクリアを見せている。
いずれのプレーも当たり前の仕事のようだが、バロテッリとは、強豪クラブの実力派監督たちが揃って匙を投げた「制御不能」のFWだ。インテル時代には、警告を受けて戻ったハーフタイム中の控え室で、ジョゼ・モウリーニョが「15分のうち14分間を割い」て2枚目のイエロー回避を懇願したにもかかわらず、後半早々に退場を命じられた「利かん坊」なのだ。
周囲の選手へ、異例の配慮を見せたバロテッリ。
そのバロテッリが、リバプールでの初戦にして、2トップを組んだダニエル・スタリッジと、トップ下に入ったラヒーム・スターリングに前線中央のスペースを譲り、自身はアウトサイドに開く周囲への配慮まで頻繁に見せた。この「一員」を意識しようと努める姿勢は特筆に値する。
試合翌朝の国内各紙でも、最高評価を受けたのは先制ゴールを含む活躍を見せたスターリングだったが、「バロテッリ改心の兆し」は、レポートとは別枠でも伝えられている。そこには、「(交代までの)60分間、素晴らしい出来だった。タイトル争い参戦の鍵を握る存在になれる」という、ジェラードによる賞賛と期待の言葉も紹介されていた。