フットボール“新語録”BACK NUMBER
ザックジャパンの戦術的な問題は、
主力と監督の“歩み寄り”が生んだ!?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byItaru Chiba
posted2014/08/10 10:40
ザックジャパンの立ち上げから、日本の攻撃を牽引してきた遠藤保仁と本田圭佑。実らなかったとはいえ、彼らが新たなオプションに挑戦していたことは覚えておきたい。
長谷部誠が昨秋に感じていた、チームの「分岐点」。
もちろん攻撃について、チーム全員が本田・遠藤と同じ考えを持っていたわけではない。昨年10月のこのコラムでも取り上げたように、長谷部誠は『AERA』(10月28日号)の連載で当時こう綴った。
「(東欧遠征で)選手間で意識のズレがあったことも確かです。日本代表にもなれば各選手が独自のサッカー観を持っています。ただサッカーはチームスポーツであり、チームのコンセプトを選手全員で共有することは本当に重要です。そういう意味でチームの中で意識のズレがあったことは非常に残念ですし、僕はキャプテンとして責任を感じています。いまサッカー日本代表は自分たちの進むべき道の分岐点に立っているのかもしれません」
また当時、内田篤人はスポーツ報知(10月23日付)のインタビューでこう語った。
「戦術も前の選手が攻撃の形を考えることも大事だとは分かっている。でも、今はひっくり返っちゃっている」
おそらく内田は、戦術は監督が考えるべきことで、選手は口出しすべきではないということを言いたかったのだろう。
ピッチ上で分かれてしまった2つの考え方。
あくまで個人的な感触だが、長谷部、内田、岡崎慎司、吉田麻也は、より現実的な考えを持っていたように思う。長友佑都、香川真司はスタイルにそれほど固執しないながらも、強気に攻めるという点で本田・遠藤の立場に近かっただろう。FWを上に、GKを下にして日本代表の布陣を紙に書き、右上から左下に斜めの線を引けば、大まかな2つの考え方の“地図”ができた。
ブラジルW杯までに、本田・遠藤が提案する「近い距離感を生かした中央突破」もオプションのひとつとして取り組んで行くのか。それとも従来のやり方に集中するのか。まさに長谷部が書いたように「ターニングポイント」だった。