フットボール“新語録”BACK NUMBER
ザックジャパンの戦術的な問題は、
主力と監督の“歩み寄り”が生んだ!?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byItaru Chiba
posted2014/08/10 10:40
ザックジャパンの立ち上げから、日本の攻撃を牽引してきた遠藤保仁と本田圭佑。実らなかったとはいえ、彼らが新たなオプションに挑戦していたことは覚えておきたい。
本田圭佑が感じていた「引く相手」への攻め手の無さ。
実際本田自身、ベルギー遠征からロシアに戻るときに、ブリュッセル国際空港でこう語っていたのだ。
「オランダやベルギーのように前に出て来る相手に関して、1点、2点を取れるという手応えをみんなが得ることができたのは大きい。でも、東欧遠征で見えた『引いた相手をどう攻めるか』という課題は未だに残っている。W杯になれば、引いた相手と対戦することになるかもしれない。おそらく1チームはグループリーグに入って来ると思うんです。そこには絶対に勝たなきゃいけない。大抵そういうチームは体が強く、センタリングを上げても跳ね返される。まさしくセルビアとベラルーシのようにね。そういう相手をどう崩すかというのは、ベルギー戦と同じようにやってもいいとは限らない」
「俺はこのベルギー戦とオランダ戦で見せたものだけが、自分たちがやりたいサッカーではないと思っている。一部分にすぎない。徹底的に引いた相手に対しても、どう崩すか考えなければならない」
ここまで明確に気がついていながら、なぜその半年後、本田はW杯直前の準備期間でこの問題を解決しようとしなかったのか……。チームの和を重んじたのかもしれないが、個人的に未だに納得がいっていない部分だ(いつか本田本人に確認したい)。
試合中に気がついても、練習していないことはできない。
結局、本田が恐れていたことが、第2戦のギリシャ戦で現実になってしまう。日本は守備を固めるギリシャを崩すことができなかった。さらに言えば、第1戦のコートジボワール戦も1-2に逆転されてからは、相手が引いて似た展開になった。
前述の週刊サッカーダイジェストの遠藤のインタビューにこんなくだりがある。
「(ギリシャ戦の)ハーフタイムに本田と、『やっぱ中だな』って話をしたんですよ。中があっての外だと」
しかし本番の試合中に気がついても、すでに遠藤自身が語っているように、練習で取り組んでいなければできることは限られていた。