MLB東奔西走BACK NUMBER
日本とメジャーで異なる“戦力外”。
「DFA」という制度の本当の意味。
posted2014/06/28 10:30
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph by
Getty Images
長年MLBの取材を続けていると、時としてMLBの現状を正しく日本に伝え切れていないことにフラストレーションを感じることがある。
つい先日も“ある出来事”に遭遇し、ちょっとした罪悪感に苛まれてしまった。
「Designated For Assignment」
MLBでは日常茶飯事のように使用される専門用語だ。
ツイッターなどの短文投稿サイトの普及もあり、「DFA」などと略されて使用されている。簡単に説明してしまえば、選手を40人枠から外す措置をとることをこう表現する。
基本的なことだがMLBの場合、メジャー公式戦に出場するためには原則、25人枠に入らなければならない。
そして、その25人枠に入ることのできる選手は、40人枠に入っていることが最低条件となる。
最近の例をあげれば、先日カブスが和田毅投手と契約を結び直した際に、この40人枠に入れたため、和田のメジャー昇格の可能性が一気に高まったということがある。
つまり、どんな有望選手であろうと、またマイナーでとんでもない活躍をしている選手がいたとしても、40人枠に入らない限り、絶対にメジャーに昇格することはできない。
DFA=戦力外という認識が大きな誤解を招く。
その一方で、どのチームもシーズンを通して固定した40人で戦うのはほぼ不可能なことになる。だからシーズンを通して(もちろんオフシーズンも)このDFAが実施されるわけだ。
このDFAという単語、日本ではどう表現されているのか。大抵の場合「戦力外」とか「戦力外的な扱い」と訳しているのが一般的になっている。
特に新聞系のメディアは、いちいち40人枠から外す措置と説明するにも文量を必要としてしまうため、簡略に表現できる戦力外を使用しているようだ。
確かに40人枠から外れメジャーの公式戦に出場できなくなるのだから、戦力から外れるのは間違いない。だが、NPBなどで使用される戦力外と同じ感覚で捉えてしまうと、とんでもない誤解を招いてしまう。