MLB東奔西走BACK NUMBER
日本とメジャーで異なる“戦力外”。
「DFA」という制度の本当の意味。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/06/28 10:30
ケガで戦列を離れた青木宣親の代わりに、マイナーより昇格したロイヤルズのジャスティン・マックスウェル。DFAされ、マイナー落ちという経緯をたどり、再びメジャー昇格を果たした。
複雑怪奇な40人枠と25人枠のルール。
6月21日、ロイヤルズが青木宣親選手の故障者リスト入りを発表した。
試合中に痛めた左脚内転筋の肉離れを悪化させず、早期に完全復帰することを願った首脳陣の決断だった。この時、マイナーから補充された選手がジャスティン・マックスウェル選手だった。実はこの選手、およそ1カ月前にチームからDFAされていた選手である。
NPBの場合、支配下選手登録をした選手なら、誰でも自由に一軍登録(出場選手登録)をすることができる。
しかしMLBでは、25人枠の選手を40人枠の中から自由に入れ替えることができないという規則がある。
ルールが非常に複雑なので米国のベテラン記者でもすべてを正確に把握するのは難しいのだが、原則的には25人枠から自由に出し入れするマイナーオプションは1人の選手に対して3シーズンしか行使できず、多くのベテラン選手は簡単に25人枠から外すことができないものとなっている。
特にメジャー在籍期間5年以上の選手は、一度25人枠に入ってしまうと40人枠に入ったままマイナーに降格させることが禁止されている。
つまり、これらの選手を25人枠から外す場合は、そのままDFAを意味することもあるのだ。
実は今年11月で31歳になるマックスウェルもマイナーオプションを使い果たしており、すでに40人枠に残したままマイナーに降格させるオプションがなかったため、DFAを利用され40人枠から外されていた。
DFAされた選手に与えられる、4つの選択肢。
そしてさらに複雑になってくるのがDFAされた後の選手の処遇だ。
DFAされた選手の選択肢は4つ。
(1)他チームへのトレード (以下、「トレード」)
(2)ウェーバー公示 (以下、「ウェーバー」)
(3)チームからの解雇 (以下、「解雇」)
(4)マイナー行き (以下、「マイナー」)
──で、DFAされた日から10日以内にいずれかの措置を施さねばならない。