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日本とメジャーで異なる“戦力外”。
「DFA」という制度の本当の意味。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2014/06/28 10:30

日本とメジャーで異なる“戦力外”。「DFA」という制度の本当の意味。<Number Web> photograph by Getty Images

ケガで戦列を離れた青木宣親の代わりに、マイナーより昇格したロイヤルズのジャスティン・マックスウェル。DFAされ、マイナー落ちという経緯をたどり、再びメジャー昇格を果たした。

ほとんどの選手は、最終的にマイナー行きとなる。

 これらの措置について簡単に説明しておくと、(1)「トレード」はDFA発表後に他チームから獲得の打診があった場合、両チーム間で合意に達すれば、そのままトレード移籍となる。

 そしてほとんどの場合、DFAされた選手はまず7日間のうちに(2)「ウェーバー公示(=選手の支配権を放棄)」を受ける。そして、ウェーバー期間中に他チームが獲得を申し入れた場合、自動的にそのチームへの移籍が決まる。

 またウェーバー期間をクリアすると、チームとの話し合いの中で(3)「解雇」や(4)「マイナー」の選択肢が選ばれることになる。

 ただし(3)「解雇」となる場合は、選手がそれを要求することがほとんどだ。

 というのもチームが本当に解雇したい選手の場合は、DFAすることなく直接解雇処分をとればいい。それを敢えてDFAにするのは、ウェーバーがクリアした後で何とか選手に残留させたいという、チームの意向があるからに他ならない。

 確かに(1)~(3)の場合なら、選手はDFAされたチームから離れることになるので戦力外という表現も決して的外れではないとは思うが、(4)の場合は25人枠から外れるとはいえ、そのまま同じチームに在籍することになる。

 前述のマックスウェルも、DFA後ウェーバーをクリアしそのままマイナーに残ったことで、再びメジャー昇格のチャンスを掴み取った。

故障者続出のチームでは必然的にDFAが増える。

 そして忘れてはならないのは、DFAされた選手は「マイナー」の選択肢となるケースが多いということだ。

 MLB公式サイトでは、各チームの選手の契約関連の出来事をすべてチェックすることができる。

 そこで、4月1日以降6月26日に至るまでの各チームのDFAについて調べてみたところ、何と30チーム中ブルワーズを除く29チームが、一度以上は選手をDFAに回していることがわかった。

 最高はレンジャーズの9回で、以下ブルージェイズ8回、ヤンキース7回と上位に並ぶ。どれも開幕からここまで、主力選手に故障者続出のチームばかり。それだけ選手の入れ替えが頻繁に行なわれたことを示している。

【次ページ】 DFA翌日にメジャー契約を結び直した選手も。

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青木宣親
ロジャー・ベルナディア
ジャスティン・マックスウェル
スティーブ・ピアース

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