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ガンバはなぜ残留争いに甘んじるか。
“個の伝統”が新スタイルの障害に? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2014/05/09 11:40

ガンバはなぜ残留争いに甘んじるか。“個の伝統”が新スタイルの障害に?<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

「今日やってみて、チームの伸びしろというか、コンビネーションはまだまだ良くなると感じたので。もっと勢いをつけていけると思います」と徳島戦後に語った宇佐美。ガンバのV字回復に期待がかかる!

スタイルを固定できず、遠い浮上のきっかけ。

 長谷川監督の采配にも迷いが見えた。

 トップや2列目の攻撃的な選手を固定できず、また攻守の要である遠藤についても、宇佐美不在にもかかわらずFW起用したり、2列目やボランチなど日替わりでポジションを変えた。それでも調子が上がる前の新潟と大宮には勝てたが、鹿島には完全に力負け。その後、川崎、柏、横浜に3連敗を喫した。

 ボランチの内田達也は言う。

「先制して引っ繰り返された柏戦もショックでしたけど、マリノス戦の敗戦のショックは大きかったです。最近の試合では一番チャンスを作れていたし、いい形でサッカーが出来ていたけど、それでも勝てなかった。これまではチャンスさえ作れていなかったんで、そういう意味ではチームも少しは良くなりつつあると思いますけど……」

 内田の言葉通り、横浜戦は敗れはしたが、良い兆候がいくつか見えた。

 川崎と柏に敗れた試合では、点を取りたい前線とDFラインを上げずに慎重に戦いたい守備陣の間で考え方のギャップがあり、攻守にギクシャクしていた場面が多かった。だが横浜戦は、共に前から点を取りにいく姿勢を見せ、ラインを押し上げて戦い、決定的なチャンスを多く作ることに成功した。その流れをうまく繋いで、徳島戦でも多くのチャンスを作り、多彩なパターンでゴールを挙げて勝利することができたのだ。

「本来の自分たちは、好きなことして攻めて勝つ」

 だが、この勝利でチーム状況が100%好転したかというと、それほど単純ではない。

 徳島に勝ちこそしたものの、個人的には昨年のモデルに戻っただけで、大きくバージョンアップした感はない。J1優勝を果たした頃のような圧倒的な強みを持てていない。

「本来の自分たちは川崎のようにボールを保持して、好きなことして攻めて勝つ感じやけど、今はそんな余裕はない。攻守の切り替えも遅いし、サポートも少ない。ボールを持てんかったらカウンターでもいいと思うけど、リアクションも遅い」(倉田)

 選手も、歯痒さを感じているのだ。

【次ページ】 2005年のJ1優勝時のサッカーはもはや不可能。

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