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ガンバはなぜ残留争いに甘んじるか。
“個の伝統”が新スタイルの障害に? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2014/05/09 11:40

ガンバはなぜ残留争いに甘んじるか。“個の伝統”が新スタイルの障害に?<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

「今日やってみて、チームの伸びしろというか、コンビネーションはまだまだ良くなると感じたので。もっと勢いをつけていけると思います」と徳島戦後に語った宇佐美。ガンバのV字回復に期待がかかる!

 5月6日の第12節、徳島ヴォルティスを3-0で圧倒し、連敗を3で止めたガンバ大阪。3勝3分6敗(勝ち点12)で15位となり降格圏からはなんとか脱したが、眼下の16位大宮、17位仙台とは勝ち点12で並び、下位争いに甘んじる厳しい状況になっている。

 果たして、この勝利がガンバ復活の足掛かりとなるのだろうか。

 徳島はガンバと同じく今シーズン、J2からの昇格組。昨年は2-0、5-1と2連勝しており、現在J1では最下位のチームでもある。順位が示すように、勝利は順当な結果だといえる。ただ、今シーズン初めて1試合で3点取れたことは大きな意味があり、得点パターンも相手を完全に崩すなど、連動したいい攻撃ができていた。さらに、シーズン前に負傷したエースの宇佐美貴史がスタメンに復帰し、ゴールを挙げたのもチームにとっては朗報だろう。

 昨年7月に宇佐美がドイツから復帰した後、長谷川健太監督は彼の得点力を最大限に活かすチームスタイルに変更した。遠藤保仁のFW起用もそのひとつだった。宇佐美はボールに触れて攻撃の形を作りたいがゆえ、中盤に下がって来ることが多かった。そのため、その役割を遠藤に任せ、宇佐美には点を取る仕事に専念させた。すると新エースは、18試合19ゴールという圧巻の数字でJ2優勝をチームにもたらした。

宇佐美の怪我で、彼への依存が明るみに。

 J1を戦う今シーズン、長谷川監督は宇佐美のパートナーとして質の高い外国人FWを欲したが、予算的な都合がつかずブラジル人FWリンスの獲得だけで補強は終了。J2で結果を出した宇佐美を軸とするシステムを継承することになったが、開幕前に肝心の宇佐美がケガで離脱し、チームは攻撃の核を失った。

「貴史がいなくなって、ほんまは一人の選手に頼ることをしたらあかんと思うけど、実際はどうやって攻撃したらええねんっていう風になっていた」(倉田秋)

 チームは、佐藤晃大やリンスをFWに置いたが、「宇佐美仕様」の戦術が機能するはずもない。高い技術と前への意欲を持つFWを欠いた中では、ボールを回せても多くのチャンスを作れず、得点も奪えず、勝ちきれない試合がつづいた。

【次ページ】 スタイルを固定できず、遠い浮上のきっかけ。

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