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地元愛、救世主、そして投資事業。
プレミアに見る「オーナー」の形。 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2014/04/25 10:50

地元愛、救世主、そして投資事業。プレミアに見る「オーナー」の形。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

2011-2012シーズンにチェルシー史上初のCL優勝を果たし、ドログバと喜びを分かち合うアブラモビッチ(左)。

第二勢力は意外にも、アメリカから流入するマネー。

 その一方で、第二勢力として見逃せないのがアメリカのマネーです。今回、モイーズ監督に別れを告げたマンチェスター・Uのオーナー、マルコム・グレイザーはアメリカ中にショッピングセンターを作って成功した実業家。彼はNFLのタンパベイ・バッカニアーズを買収して戦績、業績をともに劇的に改善させ、その後'03~'05年にかけてマンUの株を買い集めました。

 アーセナルのオーナー、スタン・クロンケもアメリカの不動産王です。NFL(アメフト)、NBA(バスケ)、NHL(アイスホッケー)、MLS(サッカー)、NLL(ラクロス)と、地元のプロスポーツチームを全て持っている“スポーツ帝王”でもあります。

 また、自らを「サポーター」と明言し、返済の見込みのない350億円をクラブに貸し付けているニューカッスルのマイク・アシュリーや、32歳の時に15億円でクラブの経営権を取得、10年後には130億円の個人資金のほぼ全てを使い果たしたクリスタルパレスのサイモン・ジョーダンも同じタイプのオーナーたちだと言えるでしょう。

 彼らは手に余る巨万の富を“地元愛”の表現手段としてスポーツクラブに威勢よくつぎ込み、その延長としてプレミアに手を伸ばしたオーナーたち、あるいは危機に瀕するクラブの“救世主”となることに満足感を覚えるオーナーたちだと言えるのかもしれません。

純粋に「投資」としてプレミアに進出する者たちも。

 しかしプレミアに流入するアメリカンマネーには、異なる性質を持ったもう一つの潮流があることにも注目すべきです。純粋にリターンも求める投資家オーナーたちが登場したのです。

 '06年アストン・ビラのオーナーとなったランディ・ラーナーは、名門コロンビア大学出身の元投資銀行員で、弁護士の資格も持つエリート。投資事業を通じて莫大な富を得ると、NFLのクリーブランド・ブラウンズのオーナーとなり、その後アストン・ビラを手に入れました。

【次ページ】 リバプールの売買で140億円以上稼いだ2人の投資家。

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