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アトレティコのホームで納得の0-0。
専守防衛のチェルシーが得た“優位”。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2014/04/23 12:10

アトレティコのホームで納得の0-0。専守防衛のチェルシーが得た“優位”。<Number Web> photograph by AFLO

アウェーでの1stレグをスコアレスドローで終え、達成感をあらわにするチェルシーのランパード。モウリーニョの復帰1年目の冒険は、CL決勝に辿り着くのだろうか。

 アトレティコ・マドリーとチェルシーによる4月22日のCL準決勝1stレグは、スコアレスドローに終わった。

 中立的な立場から見れば、見所を欠く0-0。ホームで戦ったアトレティコにすれば、不満の溜まった無得点試合といえるだろう。地元のファンは、「イングランド勢が飛行機に乗ってゴール前にバスを止めに来やがった」とでも言いたい心境だったに違いない。

 しかし、チェルシーにとっては納得の無失点試合である。アウェイで、しかも前半20分足らずでGKのペトル・チェフ、後半に20分弱を残してCBのジョン・テリーという具合に、守護神と最終ラインのリーダーを怪我で失った初戦で、敗戦回避を実現したのだから。

 チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督は、キックオフを前に「勝利を意識した先発メンバー」だとテレビのインタビューで答えた。しかしその勝利とは、あくまでも“準決勝での勝利”。そのために前半に当たる1stレグでは、敵地での失点を避けてホームでの2ndレグに望みを繋ぐという基本線を守る必要があった。

「失点回避仕様」のイレブンが見せた全員での守備。

 そもそもよほど攻撃に自信のあるチームでない限り、アウェイでの1stレグではカウンター狙いが一般的だ。加えてチェルシーでは、今季のチャンスメイクとフィニッシュを担うエデン・アザールがふくらはぎの故障明け直後でメンバーを外れた。両SBのうち、攻撃参加の頻度が高い右のブラニスラフ・イバノビッチも、累積警告で出場していない。負けない戦いを最優先して然るべき要素が揃っていたのだ。

 その手段としてモウリーニョは、基本システムの4-2-3-1ではなく4-3-3を採用した。中盤の底には守備専門のジョン・オビ・ミケル。その両脇に本来はCBのダビド・ルイスと、ボランチに転向したと言ってもよいフランク・ランパード。前線でも、フェルナンド・トーレスの左右には、運動量が豊富なウィリアンとラミレスが起用された。見るからに「失点回避仕様」のイレブンは、実際に立ち上がりから全員が自陣内で守って敵の侵入経路を封鎖した。

【次ページ】 GKの緊急交代の動揺につけこむ手もあったが……。

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