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2年ぶりの大阪ダービーは痛み分け。
山口にはまだない、遠藤のある能力。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2014/04/16 10:40

2年ぶりの大阪ダービーは痛み分け。山口にはまだない、遠藤のある能力。<Number Web> photograph by Getty Images

今野の負傷でボランチに入った遠藤保仁が試合の流れを変えた。「大阪の盟主」の座をそうやすやすと手放すわけにはいかない。

 2年ぶりの大阪ダービーは、試合前からヒートアップしていた。

 4月12日、ヤンマースタジアム。前売りは完売状態で、セレッソ大阪のグッズ販売前には長蛇の列が出来ていた。42,723人の観客が入り、報道陣に「大入り袋」が出された。そうした盛況を見ていると、大阪の勢力図が少し変わってきたなと感じた。

 ほんの数年前まで、大阪の盟主はガンバ大阪だった。

 西野朗元監督が3点取られても4点取って勝つという超攻撃的なスタイルを確立し、そのサッカーに多くのファンが魅せられた。リーグ戦、ナビスコ杯、天皇杯、ACLのタイトルを総なめにし、下部組織のガンバユースは宮本恒靖から宇佐美貴史に至る系譜の中で優秀な選手を数多く輩出した。そうして、名実ともにビッグクラブに成長していったのである。だが、2012年に西野監督が退任した後、チームは世代交代と新しいチーム作りに失敗し、クラブ史上初めてJ2に降格した。

「気付かせる」育成で成功したセレッソ。

 その間、一気に頭角を現してきたのがセレッソ大阪だった。

 ガンバが隆盛を誇っていた頃、セレッソは'01年、'06年と2度もJ2に降格するなど、クラブのアイデンティティーを失いかけていた。その反省から育成に本腰を入れ始め、'04年に西村昭宏がチーム統括GMに就任すると本格的に育成型チームへと舵を切った。「教える」のではなく、「気付かせる」育成方針に転換し、個人能力を高めた。そこで誕生したのが香川真司だった。また、ガンバに負けじと下部組織のエリアを広げ、今や大阪市内では圧倒的な基盤を保持するまでになった。'07年には資金面から育成をサポートする「ハナサカクラブ」も誕生している。

 その1期生が山口蛍たちである。

 '13年、柿谷曜一朗と山口がブレイクし、女性ファンが増え、舞洲の練習グラウンドには平日でも数百人ものファンが訪れる。また、今シーズンは、ウルグアイのFWフォルランを獲得し、シーズン開幕前から多くの注目を集めた。

 柿谷や山口以外にも扇原貴宏、杉本健勇、丸橋祐介、南野拓実らユース上がりの優秀な選手が増えた、大阪ダービーのスタメンには5名、18名のメンバー枠には計7名もの下部組織出身の選手が名前を連ね、育成型クラブのあるべき姿を見せつけた。

【次ページ】 代表候補の顔ぶれにもセレッソの勢いが。

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