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2年ぶりの大阪ダービーは痛み分け。
山口にはまだない、遠藤のある能力。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byGetty Images

posted2014/04/16 10:40

2年ぶりの大阪ダービーは痛み分け。山口にはまだない、遠藤のある能力。<Number Web> photograph by Getty Images

今野の負傷でボランチに入った遠藤保仁が試合の流れを変えた。「大阪の盟主」の座をそうやすやすと手放すわけにはいかない。

代表候補の顔ぶれにもセレッソの勢いが。

 その勢いは、ブラジルW杯を戦う日本代表のメンバー選考にも影響を与えている。ガンバでは遠藤保仁と今野泰幸が代表の主力だが、4月7日から9日まで行なわれた日本代表候補国内合宿に招集されたのは、GK東口順昭ひとりだけだった。セレッソでは柿谷と山口がすでにザッケローニ監督の信頼を得ているが、国内合宿では山下達也、長谷川アーリアジャスール、南野の3名が招集された。

 選手層、下部組織、人気面などですでにガンバを越えたと言われているが、大阪の盟主になるには直接対決に勝ち、実力を証明することが必要だ。長年、後塵を拝したガンバを完全に凌駕する絶好のタイミングが、この大阪ダービーだったのだ。

ボランチに下がった遠藤に気勢を削がれた。

 その勢いの差は、試合にも現れた。

 序盤からセレッソが主導権を握り、前半21分には柿谷、山口、フォルランとパスがつながって、フォルランによるリーグ戦でのホーム初ゴールが生まれた。主役の3人が絡み、中央突破からゴールを決めた一連の流れは、セレッソ攻撃陣の能力の高さを誇示するものだった。

 ガンバは、前半37分に今野が左ヒザを痛めて途中交代。まさかの緊急事態に、トップ下からボランチに下がってリズムを変えたのは、遠藤だった。

「ヤットさんがボランチに下がって、ボールを握られる時間帯が増えたし、佐藤(晃大)選手にロングボールが納まって、うまく落とされ、相手にリズムを作られてしまった」(山口蛍)

 遠藤が入って、チームが生き返る。

 それはまるで昨年11月、日本代表が戦ったオランダ戦、ベルギー戦の再現のようだった。「相手のプレッシャーがなかったんで、より多くボールを触りながら、相手を走らせようと思っていた。あとはリズムよく、ここという時は前に出るようにしていた」

 という遠藤のプレーにより、チームが大きく動き出したのだ。気持ちが入ったプレーが出るようになり、攻守の切り替えが早くなった。そして阿部浩之の同点ゴール、逆転ゴールが生まれた。遠藤は、まだ山口らが持ち得ないベテランの奥深い力を見せつけ、チームに勢いを与えたのだ。

【次ページ】 若きセレッソには“経験”が足りない。

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