詳説日本野球研究BACK NUMBER
選抜は「ミス」と「エラー」が分岐点。
混戦の中で輝いた“プロ好み”の48人。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKYODO
posted2014/04/04 16:30
選抜には38回目となる最多出場で初めての優勝を手にした龍谷大平安。主なOBには衣笠祥雄氏、桧山進次郎氏などがいる。
第86回選抜高校野球大会準々決勝の第4試合、龍谷大平安(京都)対桐生第一(群馬)の延長10回裏、龍谷大平安は1死満塁の場面で相手投手の暴投で三塁走者が生還して今選抜大会6回目のサヨナラ勝ちした。
これが今大会通算6回目のサヨナラ勝ちとなり、これは'79、'90、'93、'09、'10年の5回を上回る大会史上最多である。6回のサヨナラ勝ちを振り返ってみよう。
1回戦 池田(徳島) 4-3 海南(和歌山)(9回サヨナラ)
1回戦 豊川(愛知) 4-3 日本文理(新潟)(延長13回サヨナラ)
1回戦 明徳義塾(高知) 3-2 智弁和歌山(和歌山)(延長15回サヨナラ)
2回戦 履正社(大阪) 7-6 駒大苫小牧(北海道)(9回サヨナラ)
2回戦 佐野日大(栃木) 5-4 智弁学園(奈良)(延長10回サヨナラ)
準々決勝 龍谷大平安 5-4 桐生第一(延長10回サヨナラ)
この6試合は「エラー」と「ミス」がいかに命取りになるのかという教訓でもあった。
池田のサヨナラは遊撃手のエラーから。
4万4000人の大観衆で沸いた池田対海南は、0-3でリードされた池田が8回に長短打と四球を織り交ぜて2点を奪う。さらに1点差となった9回裏にヒット、遊撃手のエラー、投手前のバント安打で無死満塁とし、途中出場の7番林涼平がセンター前に弾き返し2人の走者を迎え入れ、サヨナラ勝ちした。海南の命取りになったのは9回の遊撃手のエラーで、8回の守りでは無死一、二塁の場面で9番打者に与えた四球が余計だった。
池田のサヨナラ勝ちの余韻が残る中で行なわれた日本文理対豊川も接戦になった。0-1でリードされた豊川が9回裏に追いつき、10回表に日本文理が2点取ってもう大丈夫と思ったその裏に、豊川が無死一塁から三塁打、右前打で2点取って追いつき、延長13回には豊川が1死後に四球で出塁した走者をバントで送り、5番佐藤廉が左中間を破るヒットを放ち、劇的なサヨナラ勝ちを演じた。