甲子園の風BACK NUMBER
アンジャッシュ渡部建が見たセンバツ。
龍谷大平安、投手と監督の信頼関係。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/04/15 10:40
センバツ決勝戦の8回、1アウト満塁のピンチを乗り越えた中田竜次投手は「自分が行くしかないと思っていた。気持ちで投げた」とコメントしている。
全国最多の38回目のセンバツ出場で初優勝。龍谷大平安が頂まで上り詰められた最大の要因は攻撃力だと言われている。
大会5試合で43得点。チーム打率は3割4分7厘、4本塁打と、全試合を通じて安定して強打を固持した。
だが、それだけが理由ではない。
「投手陣の頑張りも大きかったですよね!」
そう熱く補足したのは、芸能界きっての「高校野球好き」で知られるお笑い芸人、アンジャッシュの渡部建氏だ。
渡部は龍谷大平安の強力打線に称賛を贈りながらも、「春の段階でピッチャーが4人いるってすごい」と、独自の視点から同校のセンバツ初制覇の要因を語ってくれた。
僕がセンバツでの龍谷大平安の戦いぶりを観ていて「すごいなぁ」と真っ先に感じたのは、豊富な投手陣でした。
春は気候的な面や新チームになってからの期間、戦力など様々な要素から、「絶対的なエースがいればピッチャーひとりでも勝てる」といった声もあります。でも、龍谷大平安はエースの中田竜次君を筆頭に、高橋奎二君、犬塚貴哉君、元氏玲仁君と4枚も揃っていて、全員が甲子園で通用する力を持っている。しかも、エースの中田君以外は全員サウスポー。左の継投の後に右の本格派である中田君が登板すれば、相手チームだって攻略するのは簡単じゃありません。だから、「このチームには底力があるんだろうな」と自分なりに分析したわけです。
監督との信頼関係が一番表れていた決勝戦。
あともうひとつ、試合を観続けるうちに実感したことがありました。それは、選手、特に投手陣と原田英彦監督との信頼関係です。
初戦の大島戦で元氏君、2回戦の八戸学院光星戦では高橋君、準々決勝の桐生第一戦では元氏君、準決勝の佐野日大戦では高橋君と、2年生投手を交互に先発させ、ゲームのターニングポイントと判断すればエースの中田君にマウンドを託す……。
そんな、監督と投手陣の信頼関係が一番表れていたのが履正社との決勝戦でした。