詳説日本野球研究BACK NUMBER
高卒、大卒、社会人の割合で考える、
パの“成功法則”と、セの“反攻”。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/02/27 10:50
桐光学園からドラフト1位で楽天に入団した松井裕樹。今年ヤンキースに移籍したチームの大先輩、田中将大のように大きく成長できるだろうか。
セよりも、豪華な高校生陣を獲得したパのチームたち。
◇セ・リーグ各球団が指名した18UW杯出場選手
田口麗斗(広島新庄→巨人3位・投手)
奥村展征(日大山形→巨人4位・遊撃手)
◇パ・リーグ各球団が指名した18UW杯出場選手
松井裕樹(桐光学園→楽天1位・投手)
内田靖人(常総学院→楽天2位・捕手&三塁手)
森友哉(大阪桐蔭→西武1位・捕手)
上林誠知(仙台育英→ソフトバンク4位・外野手)
若月健矢(花咲徳栄→オリックス3位・捕手)
園部聡(聖光学院→オリックス4位・一、三塁手)
吉田雄人(北照→オリックス5位・外野手)
渡辺諒(東海大甲府→日本ハム1位・遊撃手)
セの2人が同大会で脇役的な役割をまかされたのに対して、パの8人のうち松井、内田、森、園部、吉田、渡辺の6人は中心的な役割を果たしている。セ・パのドラフトに向かうときの姿勢の違いがわかる。
指名数は変わらないが、大物はパに多い事実。
実は、統一ドラフトになった'08年以降、高校生の指名はセ=79人(208人中)、パ=80人(212人中)とほとんど変わらない。それでいてプロ入り後、大きく育っているのはパの高校卒である。冒頭の「高校OB選抜」の顔ぶれをもう一度思い出してほしい。スタメン9人のうち、パの選手は6人、セの選手は3人、投手10人のうちパ出身選手は7人、セの選手は3人と、圧倒的にパ・リーグの選手の数が多い。
スター選手獲得に向かう姿勢とともに、若手を抜擢する姿勢の差と言っていい。'93年のFA制度導入で、選手の草刈り場となったのはパ・リーグである。流出に対抗する手段は若手の抜擢しかない。ソフトバンク以外のパ各球団が、スカウティングとファームのコーチングを中心としたチーム作りで平均年齢の高いセ各球団を凌駕しているのは、過去10年の日本シリーズの勝敗「パ7勝対セ3勝」を見てもはっきりしている。