Jをめぐる冒険BACK NUMBER
判定を知ると試合の見方が変わる!?
Jを裁く審判の「4つの基準」とは。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAP/AFLO
posted2014/02/26 10:55
サッカーにおいて、強靭なフィジカルのぶつかり合いは魅力の1つだが、その接触もフェアであってこそ。公正でレベルの高いジャッジを期待したい。
相手が倒れた=ファウルではない。
(3)サッカーでは接触プレーはつきもの。それが正当なタックルであれば、選手が倒れたからといってレフェリーは惑わされず、正しいジャッジをしなければならない。逆に、過剰な力による無謀なタックル、後方からだったり、足の裏を向けたりした危険なタックルの場合には、しっかりと見極めて、イエローカードやレッドカードを提示しなければならない。
(4)スピーディなゲーム展開は日本サッカーの特長のひとつ。遅延行為や異議申立てをなくし、いい加減にリスタートして、やり直しを命じられないようにすることで、スピーディな展開を導き、アクチュアルプレーイングタイムを増やしたいという狙いがある。
4つの基準でゼロックススーパーカップを見てみると。
それら4つの基準を踏まえて、サンフレッチェ広島と横浜F・マリノスによるゼロックススーパーカップを観戦してみた。判定のいくつかを見ていくと……。
8分の後方から遅れ気味にチャレンジした横浜FMのドゥトラと、25分に足の裏を見せて遅れ気味にタックルした富澤清太郎にイエローカードが提示されたのは納得。
広島の塩谷司と石原直樹が警告を受けた87分と89分の場面も、過剰な力による遅れ気味のチャレンジと、足を上げた危険なプレーということで理解ができた。
32分、広島の青山敏弘がペナルティエリア内でハンドを犯したが、ファウルを取らなかった場面では、ボールを蹴った端戸仁と青山の距離が近いのがポイントだろう。
実は5日前のテストにも似た場面があった。そのときも「ハンドではない」という見解で、上川審判委員長は「手に当たれば全部ハンドというわけじゃない」「キッカーとハンドした選手との距離が近いから予測できない」と言っていたからだ。
好ジャッジだったのは、青山のゴールを認めなかった51分のシーン。オフサイドポジションにいた佐藤寿人がしゃがんでプレーに関与したことを見逃さなかった。
また7分後の58分、中澤佑二がファウルを受けたとき、こぼれ球を横浜FMの選手が拾ったため、プレーを続行させたのも良かった。流したおかげで横浜FMは、齋藤学、藤本淳吾、端戸とつないでシュートまで持ち込んだ。