Jをめぐる冒険BACK NUMBER
判定を知ると試合の見方が変わる!?
Jを裁く審判の「4つの基準」とは。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAP/AFLO
posted2014/02/26 10:55
サッカーにおいて、強靭なフィジカルのぶつかり合いは魅力の1つだが、その接触もフェアであってこそ。公正でレベルの高いジャッジを期待したい。
答えが割れる問題も、よく見れば動作の不自然さが。
一方、答えが割れたのは10問目。ペナルティエリアの中でシュートチャンスを迎えたヴァンフォーレ甲府のFWが相手DFに後ろから体当りされ、ふっとばされたシーンだ。
攻撃の選手が倒されたので、PKのように思えるが、このときの判定は「ノーファウル」。これは当時、誤審だと話題になったが、なんと上川審判委員長は「ノーファウルも受け入れられますが、審判委員会の見解としては、攻撃側の反則と見ます」と言う。
理由は「白の選手(守備の選手)はボールをヘディングしに行っていますが、青の選手(攻撃の選手)はボールに向かってプレーしていない。白の選手が来るのを確認し、わざと体を入れて倒されています。そこまでの意図が分かる」から。
そう言われてみると、たしかに攻撃の選手の動作に不自然なところがある。
ドキッとさせられたのは、上川審判委員長の「ここで間違ってはいけないのは、PKにしてしまうこと」という言葉。まさに僕は「白の反則+レッドカード」に「○」を付けていたからだ。FWの狙いにまんまと引っかかり、ミスジャッジを犯したことになる。
映像で見ても見極めるのは簡単ではないのだから、実際の試合ではもっと困難なはず。このときのレフェリーはよくPKにしなかったなぁ、と感心させられた。
シミュレーションの常習者、という選手もいるが……。
シミュレーションが行なわれるのは、なにもペナルティエリア内にとどまらない。ピッチの中央でもシミュレーションは横行している。スクリーンには、ジェフ千葉のある選手が競り合いのあと、顔を抑えて倒れたシーンが映し出されていた。
直後会議室に笑いが起こったのは、相手選手の体や手がまったく顔に当たっていなかったからだ。
実はこの選手、スタンダードビデオでよく取り上げられるシミュレーションの常習者。スタンダードビデオは全選手が見るはずだから、本人も毎年のように恥ずかしい思いをしているはずなのに、それでもやってしまうのは、癖として体に染み付いてしまっているのか、根っからの役者気質なのか……。
それはともかく、シミュレーションは「今シーズンも引き続き、大きなターゲットにしていきたいと考えています」と上川審判委員長は力を込めた。