Jをめぐる冒険BACK NUMBER
判定を知ると試合の見方が変わる!?
Jを裁く審判の「4つの基準」とは。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAP/AFLO
posted2014/02/26 10:55
サッカーにおいて、強靭なフィジカルのぶつかり合いは魅力の1つだが、その接触もフェアであってこそ。公正でレベルの高いジャッジを期待したい。
今シーズンの判定において、強調された4つの基準。
進行役の上川徹審判委員長がまず説明してくれたのは、昨シーズンの傾向だ。'12年よりも'13年はイエローカードと退場者の数が減少したという。
ところが、退場者の数が減ったにもかかわらず、得点機会を阻止して退場になるケースが増えてしまった。警告の内容を見てみても、シャツを掴んだり、手や腕を使って相手の突破を阻んだりする反スポーツ的行為が増えているという。
そんな現状を踏まえて今シーズンの基準として強調されたのが、以下の4点だ。
(1)ホールディングに対する厳しいジャッジ
(2)シミュレーションの撲滅
(3)正当なフィジカルチャレンジとそうでないものの判断
(4)スピーディな展開の促進
(1)ホールディングというのは、大きなピンチを招きそうな場面で、守備の選手が手や腕を使った意図的な反則で、攻撃の選手の突破を阻止するものだ。サッカーの試合で最も盛り上がる決定的なシーンがファウルによって潰されてしまう――。これは、ゲームの質を落とすことにつながるし、観戦者の楽しみや興奮を奪う行為にほかならない。
「これはもう、サッカーじゃないですよね。見苦しい」と上川審判委員長。「ホールディングの懲戒罰は、他の反則と比べても厳しいので気をつけてほしいです」と続けた。
(2)「シミュレーションの撲滅」はここ数年目標として掲げられているのに、実際は一向に減らないという。シミュレーションと聞いて思い浮かぶのは、ペナルティエリアの中で、攻撃の選手が守備の選手の足にわざと引っ掛かったり、引っ掛かったフリをしたりするシーンだろう。
テストの4問目が、まさにこれ。ペナルティエリア内で横浜F・マリノスの選手がドリブルを仕掛け、相手DFの出した足に意図的に交錯して倒れてPKをアピールしたが、判定は「シミュレーション」。これは比較的分かりやすい反則だった。