日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ベルギー撃破で得た「成功体験」。
ザックJ、W杯への進路は固まった!
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byVI-Images via Getty Images
posted2013/11/20 16:30
「勝てて良かったです。本当に勝つことだけを意識していましたから」と、喜ぶよりもむしろホッとした表情で語っていた柿谷。
大きな目標があるから、一喜一憂しない。
勝利を追求して勝ち切ったことに満足は得られても、そこで終わりではない。W杯で優勝したいという大きな目標が、口任せなどではないからこそ彼らは一喜一憂せず、課題をクローズアップするのだろう。本田や長友佑都ばかりでなく、酒井宏の言葉からも本気を感じ取ることができた。きっとチーム全体で、そういった意識が広がりを見せつつあるに違いない。それゆえの「淡々」なのだと、ミックスゾーンで感じ取ることができた。
W杯に出場しないセルビア、ベラルーシを相手にした第1次欧州遠征は無得点のうえ、2連敗に終わった。それが1カ月後、欧州予選を無敗で通過したオランダ、ベルギー相手に1勝1分け。それも2試合で5ゴールを挙げたのだから上出来だ。危機感と競争がチームを活性化させ、自分たちのスタイルを見つめ直して共通理解を図った成果だと言える。チームの危機を変貌の糧とし、のどから手が出るほど欲しかった「成功体験」を得たことで、方向性は間違ってないのだと証明もできた。
うまくいかないときがあるから、ジャンプできる。
「やっぱり勝ちが欲しかった。これを自信に変えて、来年に向けてやっていきたい」
3点目を挙げた岡崎の一言は、チームメイトの思いを代表していた。
W杯出場決定後に、コンフェデレーションズカップ3連敗、ウルグアイ戦の敗戦、そして停滞感を漂わせた第一次欧州遠征……紆余曲折あった2013年を、最高の形で締めくくったことにも意義がある。
ヘイゼルからブリュッセル市内に戻った深夜、オランダ戦後に語った長谷部誠キャプテンの言葉をふいに思い出した。
「うまくいかないときがあるからこそ、ジャンプすることができる。(だから)上がってきているのかなとは思う」
停滞もまた進化の過程。
2014年、ザックジャパンが進化の速度を上げていく。
迷いなく、前に向かって――。