日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ベルギー撃破で得た「成功体験」。
ザックJ、W杯への進路は固まった!
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byVI-Images via Getty Images
posted2013/11/20 16:30
「勝てて良かったです。本当に勝つことだけを意識していましたから」と、喜ぶよりもむしろホッとした表情で語っていた柿谷。
オランダ戦同様、失点に直結するミスが……。
しかしオランダ戦とまったく同じように、失点に直結するミスが起こってしまう。
前半15分だった。
左サイドに流れていたルカクへのロングパスに対して川島永嗣が果敢にペナルティーエリアの外まで飛び出すが、結局かわされてしまい最悪の展開に。左サイドバックで先発起用された酒井高徳が背後にいたミララスに対応できず、無人のゴールにボールを流されてしまう。赤く染まったスタジアムが一気に沸騰した。
14日に行なわれたコロンビア戦に敗れて、サポーターの鬱憤も溜まっていた。強豪を調子づかせる失点になりかねなかった。
あわてた様子も見せず、落ち着いて決めた同点ゴール。
だが2点差を追いついてドローで終えたオランダ戦が自信になったのか、選手たちは下を向くことも、焦ることもなかった。
ファンブイテン、べルトンゲンら長身かつ屈強なベルギーの最終ラインは前や空中戦には強いものの、裏を取られると時折、脆さが顔をのぞかせる。特に裏のスペースが空くベルギーの左サイド(日本からは右サイド)は狙い目だった。
認識は共有されていた。前半37分、その右サイドでボールを持った本田が駆け上がってきた酒井宏樹にスルーパス。酒井宏のクロスに、柿谷曜一朗が飛び込んで頭で同点ゴールを奪った。
アシストした酒井宏は「(試合を)ひっくり返せる攻撃陣がいるので、1点取られても落ち着いてやっていこうと切り換えられた」と振り返る。ミスによる失点に動揺もなく、オランダ戦での手ごたえが焦りを吸い取って落ち着きだけを与えていた。
酒井宏は言葉を続ける。
「(上がっても、左サイドハーフの)メルテンスがついてこなかったので、サイドで2対1をうまくつくれたし、うまく崩せた。クロスはキーパーが取れないボールを意識して、中には誰かが入ってくるかなというぐらいの感じでした」
日本の1点目を決めたのは、オランダ戦で勝ち越しの決定機を外した柿谷。「これまで何試合もゴールできなくて、チームに迷惑をかけてしまっていた」とこの日は一発のチャンスに集中力を持って試合に臨んでいた。
酒井宏と柿谷は、オランダ戦で控えの立場。前回から6人先発を代えたザッケローニの期待に応えた形となった。