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CL同組にイタリア人名将3人の椿事!
三者三様のサバイバル模様を読む。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/11/08 10:30
マドリーのアシスタントコーチを務めるジダン(右)とコンテ(左)はユベントス時代のチームメイトでもある。そして、その2人がいるユベントスで、アンチェロッティは指揮を執っていた。
今季の欧州CLがグループリーグ後半戦に入った。
昨季王者バイエルンではスペイン人のグアルディオラが、王座奪回を目指すバルセロナではアルゼンチン人のマルティーノが、それぞれ新監督として采配を振るい、順当に勝ち点を重ねている。
各国を代表するビッグクラブの指揮官が異なる国籍の人間であっても、情報と人材の交流が活発な欧州では話題にもならない。
ただし、イタリア人であれば軽々しく見過ごせない椿事が、今大会のCLグループBで起きている。
2つしかない決勝トーナメント進出枠をかけて、レアル・マドリーとユベントス、そしてガラタサライを率いる3人のイタリア人指揮官が、三つ巴の争いをくり広げているからだ。
ビッグイヤーを義務づけられた名将の重圧。
マドリーの新監督カルロ・アンチェロッティは、好調の攻撃陣によってイスタンブールでの開幕戦から3連勝を挙げた。5日に行われた第4節でユーベと引き分けると、無敗のままポイントリーダーの座をキープした。
首位通過はほぼ安泰だが、指揮官に満足した様子はない。太い左眉毛を吊り上げて「チームバランスが崩れて、心理的に引いてしまう時間帯がある。このチームはまだうまく守れていない」と、反省点を並べた。
クラブ9度目の欧州制覇から、はや10年余が過ぎている。10度目のビッグイヤー獲得は、すべてのマドリスタとペレス会長の悲願であり、切り札だったはずの前任者モウリーニョ(現チェルシー)ですら挫折した難業でもある。満を持して招聘されたアンチェロッティにかけられる期待とプレッシャーは、筆舌に尽くしがたいほどだろう。
会長からは、今夏大枚をはたいて獲得したMFイスコとMFイジャラメンディ、そしてMFベイルをFWロナウド、FWベンゼマと同時に競演させろ、という無茶苦茶な要求をされ、宿敵バルサとの“エル・クラシコ”で敗れれば、辛辣なスペイン・メディアから「守備偏重のイタリア流だから駄目なのだ」と、ステレオタイプの猛批判に晒された。