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CL同組にイタリア人名将3人の椿事!
三者三様のサバイバル模様を読む。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/11/08 10:30
マドリーのアシスタントコーチを務めるジダン(右)とコンテ(左)はユベントス時代のチームメイトでもある。そして、その2人がいるユベントスで、アンチェロッティは指揮を執っていた。
宿敵ユーベを知り尽くし、翻弄したマンチーニ。
コンテを惑わせたガラタサライの新指揮官は、グループ3人目のイタリア人監督ロベルト・マンチーニだった。マドリーとの開幕戦で6失点惨敗を喫した“皇帝”ファティフ・テリムは解任。マンチーニは監督就任の翌々日、ぶっつけ本番でユベントス・スタジアムでの初采配に臨んだ。
「私は魔法の杖は持ち合わせていないし、会ったばかりの選手たちの名前もあやふやだった。ただ、現役時代からユーベのことは敵としてよく知っている。だから、いけると思った」
してやったり、の表情を浮かべた新監督は、続く3節のホームゲームでコペンハーゲンを撃破すると、ユベントスを逆転し2位奪取に成功した。
指揮は冴え渡るが、主力の怪我が不安材料。
マンチーニは、モチベーターや偏屈な戦術家タイプの指導者とは異なる。コンディションと調子のよさを最優先する“セレクター”型の監督として、カルチョ・スキャンダル後にインテルでスクデット3連覇を達成し、イングランドへ渡ると、2季前にマンチェスター・シティで念願のプレミア王者となった。
ひたすら突貫攻撃が賛美されるトルコにあって、中盤を4枚にして守備ラインを安定させたのも革命的だった。中位に沈んでいたトルコリーグでも、チームを18チーム中3位にまで挽回させた。
こうなると、上気したウナル・アイサル会長は止まらない。グループリーグ突破を決めた暁には、監督と選手を含む現場のスタッフ全員に、一人25万ユーロの特別臨時ボーナスを支給すると確約。大盤振る舞いのニンジン作戦が発動された。
しかし、MFスナイデルとGKムスレラが故障によって、デンマークでの4節目を欠場。トリッキーなゴールで先制されると、どうしても同点弾を奪えず、あえなく敗戦を喫したことで、グループBの2位争いは混沌と化した。